高度資本主義的な朝
高度資本主義的な朝がやってきて、ぼくは高度資本主義的に目を覚まし、高度資本主義的なシャワーを浴びる。
よく晴れた十二月の日曜日のことだ。
ぼくのパジャマを着たガールフレンドに「おはよう」と声をかけ、コンロに火をつけ、お湯をわかす。小さめの鍋に半分に折ったパスタを沈め、寝ぼけまなこで新聞に目を通す。
「また間違えてる」とガールフレンドが言った。
「間違えてやしないさ。これがぼくのやり方なんだ。半分に折ったほうが茹でやすいだろ」
「違うわよ。あなたのシャツのこと」
「シャツ?」
見ると、昨夜パジャマ代わりに着たTシャツが裏返しになっている。
「あらゆるシャツには、ちゃんと表と裏があるのよ」と彼女は言った。
「表と裏のない人間がいないのと同じようにね」とぼくは付け足した。
「あなたって面白い人ね」と妖精が笑った。
「ばかみたい。小説の読みすぎよ」とガールフレンドがあきれ顔で言った。
やれやれ、とぼくは思った。
やがてパスタが茹であがり、ぼくらは高度資本主義的なブランチを食べた。
ラジオからはいつもと同じように、高度資本主義的な音楽が流れてくる。