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ねことおさんぽ

猫の日らしいので猫っぽい何か。

エセ異世界/猫系獣人/微恋愛/ろりこん









 首の後ろを少し強めに、背中と腹をゆっくりと優しくなでて、耳の後ろをかりかりと掻く。

 それから大事なのが、顎の下。

 撫でられているうちに、ふにゃふにゃと力が抜けて、眠たくなってくる。


「よしよし、お前はいい子だな、ミー」


 ご主人様の低い声が聞こえる。……ちょっとうるさいから、あんまりしゃべらないで欲しいんだけどな。でも、この声は、嫌いじゃない。



 うとうとと膝の上でまどろんでいると、ダンダンとうるさい足音。

 またあの人かな。

 ご主人様の部下で、すごく声がうるさい人。眠たい時に限って来るから、嫌いだ。


「閣下! ご報告に上がりましたッ」

「……うむ。申せ」

「はっ。西の要塞が陥落致しました! 戦死者およそ3000、将官は全て首を刎ねられたとの報告です! 帝国軍は西の要塞にて夜を明かし、明朝には進軍を再開するとのこと!」


 ご主人様は深い溜息をついて、下がれ、とだけ言った。

 うるさい人はまた足音を立てて去っていき、おまけにドアを乱暴に閉めていく。

 本当にうるさいな、あの人。


「……気づいておらぬと思うてか、奴め。俺の首を手土産に裏切るつもりなのだろうがな……ミー、すまぬ、また長旅になりそうだ」


 ――旅? お散歩のことかな。

 お散歩はあまり好きじゃないけど、ご主人様は、わたしが行きたい場所に行かせてくれるのだ。おいしいものも食べられるし、銀色の人といっぱい遊べる。

 こんなに楽しいものはない。


「では、行くぞ」


 立ち上がったご主人様は、腰に刀を刷いて、壁にかけてあった背嚢を取る。わたしには小さなバッグを持たせて、準備はおしまいだ。


 さあ、どこへ行くかは気分次第。

 どこにいっても楽しい旅、どれほど掛かるかは分からないけれど、精一杯楽しもう。









 梟雄として後世に名を残す稀代の謀略家、グウェルト=アグリム。

 四十の国を名を変えながら渡り歩き、そのうち三十人の主を弑したと伝わるグウェルトは、いつも獣人の娘を連れ歩き、可愛がっていたと伝わっている。


 猫の獣人であった彼女は、グウェルトの出生地であるピーリダ・カームの王女であり、ミラリス=フェルンという名を持っていたものの、グウェルトにはもっぱら“ミー“と呼ばれて寵愛されていたそうである。


 歳の差は20もあり、またミラリスの両親もグウェルトによって殺されていたが、ミラリスもまたグウェルトを慕っており、その獣人特有の卓越した身体能力でもってグウェルトを幾度も救ったと言われている。


 ――やがてグウェルトは大陸を危機に追い込む大乱を引き起こし、その首謀者として処刑される事になる。

 ミラリスは、その梟雄の死から程なくして一児を出産した後、嬰児を獣人の夫婦に預けてひっそりと消えていった。


 一説では、グウェルトの死体を焼き払った火葬場で、主から預かった刀で自害したと言われている。

 また別の一説では――実はこのグウェルトは替え玉で、ミラリスは本物の主を探すために消えていったのだ、とも言われている。



 ともあれ、稀代の悪人にも意外な一面がある、という話である。








前半は猫の話ではあるけど、何かものすごく間違ったような気がしてならない……

ただ1つだけ言えるのは、おっさんと幼女の組み合わせは、おいしい。(何を言っているんだ)


というわけで猫の日の話でした。

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