表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/2

1話無能力者


はじめまして、けんとです。

ダークヒーロー×異世界×最強主人公の物語になります。

少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。


この世界では、“力があること”がすべてだった。


 生まれながらにして人は異能力を持ち、やがて“覚醒”する。

 それが当たり前で、それが常識。


 ――だからこそ。


 「なんでお前は、まだ何も出ないんだよ」


 俺の目の前で、父親が舌打ちをした。


 冷たい目だった。

 そこにあるのは、怒りでも期待でもない。


 ただの“失望”。


 「気味が悪い……本当に俺の子か?」


 母親は俺を見ようともしない。


 兄は笑っていた。


 「こいつマジで無能力者じゃね? 終わってるじゃん」


 ――無能力者。


 その言葉は、この世界では“人間未満”を意味する。


 力がなければ価値がない。

 価値がなければ、生きる意味もない。


 だから俺は、捨てられた。



 気づけば俺は、薄暗い路地裏にいた。


 食べ物はない。

 金もない。

 頼れる人間もいない。


 あるのは、空っぽの体と、空っぽの人生だけ。


 「……はは」


 笑いがこぼれた。


 なんだこれ。


 生まれてきた意味、あったのか?



 何日経ったのかも分からない。


 腹は限界だった。

 視界もぼやけてきている。


 そんな時だった。


 「おい、いたぞ」


 複数の足音。


 振り向くと、武装した男たちがこちらを見ていた。


 「無能力者のガキだな」

 「処分対象だ。連れていくぞ」


 ――処分。


 ああ、そうか。


 最後はそうなるのか。



 逃げる気力もなかった。


 腕を掴まれ、地面に引きずられる。


 殴られ、蹴られ、血が滲む。


 それでも、何も感じなかった。


 どうでもよかった。


 どうせ終わる。



 「最後に何か言うことはあるか?」


 男が剣を構える。


 冷たい刃が、俺の首元に触れた。


 ……終わりか。



 ――その瞬間。


 「……なんだ、これ」


 頭の奥で、何かが“弾けた”。


 視界が歪む。


 いや、違う。


 世界の見え方が変わった。



 目の前の男の体から、何かが“流れている”。


 見えないはずの“力”。


 それが、分かる。


 理解できる。


 そして――


 「……使える」



 ドンッ!!


 次の瞬間、男の体が吹き飛んだ。


 何が起きたのか、誰も理解できていない。


 当然だ。


 俺自身も、分かっていない。



 ただ一つ、確かなことがある。


 「今の……こいつの能力、か」


 視線を落とす。


 倒れた男。


 その力が、“俺の中にある”。



 「は……はは」


 笑いがこみ上げる。


 さっきまで何もなかったはずの俺に、


 今、確かに“力”がある。



 「化け物だ……!」


 誰かが叫んだ。


 だが、その言葉は間違っていない。


 むしろ――


 しっくりきた。



 「そうかよ」


 立ち上がる。


 体はボロボロのはずなのに、軽い。


 いや、それすらもどうでもいい。



 「……だったら、もう人間やめるか」



 逃げ出す兵士たち。


 その背中を見ながら、俺は手を伸ばした。


 理解してしまった。


 “どう使えばいいのか”。



 ――次の瞬間。


 全員が、地面に叩きつけられていた。



 静寂。


 血の匂い。


 そして、倒れた人間たち。



 「これが……俺の力」


 胸の奥が、妙に静かだった。


 嬉しくもない。

 悲しくもない。


 ただ――納得した。



 「遅すぎたな」


 もしこれが、もっと早くあれば。


 違う人生があったかもしれない。



 ……いや。


 そんなことはどうでもいい。



 「もう期待しない」


 「もう信じない」



 なら――


 どうする?



 少し考えて、すぐに答えは出た。



 「壊せばいい」



 この世界は、力がすべてだ。


 なら――


 そのルールごと、壊す。



 その時だった。


 頭の奥で、誰かの声がした。



 『――遅いな、やっとか』



 「……誰だ」



 『お前だよ』



 知らないはずの声。


 なのに、理解できる。



 『俺たちは、お前だ』

 『何度も繰り返した、“過去のお前”だ』



 ――その瞬間。


 大量の記憶が流れ込んできた。


 戦い。

 死。

 裏切り。

 絶望。


 そして――


 何度も、何度も繰り返された人生。



 「……は?」



 理解が追いつかない。


 だが、一つだけ分かった。



 「俺は……初めてじゃない?」



 『ああ。お前は何度もここにいる』



 笑いがこぼれた。


 さっきとは違う。


 もっと、歪んだ笑い。



 「……マジかよ」



 なら、もう遠慮はいらない。



 「全部、壊してやる」



 それが、2000年転生した化け物の――


 最初の一歩だった。


ここまで読んでいただきありがとうございます!

面白いと思っていただけたら、ブックマークや評価をいただけると励みになります。

次回もぜひよろしくお願いします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ