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建国の聖女


「留学ですか?」

セイリオス帝国の皇帝である兄に告げられた言葉に、アイザック・マクヴェイは首を傾げた。


「ああ、ヴィネットから要請が入った。なんでも、学園に聖女が入学してきたらしく、その女性がナイジェルやその他の男子生徒にまとわりついているらしい。」

どこかで聞いた覚えのある内容に、アイザックはこめかみを押さえる。


「それは……いわゆる、アレですか……。」

「現段階では断言出来ないが、可能性は高い。君ならばどうかしてくれるかも、とヴィネットが連絡してきたんだ。」

「まぁ、可愛い甥っ子が破滅しない為にも協力はするよ。久しぶりに姉上にも会いたいですから。」


にこりと笑うアイザックに、兄は少しだけ嫌そうな顔をしてため息を吐いた。


「可愛い末弟をよその国などに送り込みたくはないのだがな……。いっそのことフランクでも良いかもしれない。」

「自分の息子でしょうが。私としてはフランクを留学させるならば、もっと実りがありそうな国を選びたい。」

「アイツならばむしろ、アイザックと共に行きたいと言い出すだろうな。」


根本を言うなら、どうしてあの国にヴィネットを嫁がせたのか問いたい。

ちょっと祖父を締め上げたい所だが。


「アイザック、悪い顔をしているね。」

「許可を出したお祖父様にちょっと。」

ふふ、と笑えば、理由に思い当たったのか、頭痛を堪える仕草をするので、冗談だと言っておく。


「彼はアトラス王国の人間にしては、魔力が高いですからね。共に人生を歩むにはちょうど良い。」

魔力の高い人ほど長寿であり、成長後の老いは緩やかになる。

「この国で魔力の高い人間となると、血の繋がりが近い者も少なくない。余所の血もいれないと、逆に破たんする可能性もあるからな。」


初代聖女が建国に携わったとされており、聖女は異世界転生者だった。

異世界は今のこの帝国よりずっと発展しており、医療技術やカガク技術は特に顕著らしい。


「遺伝子でしたね。血縁が近いほど不具合を起こすと。」

「2代後の聖女様が血縁鑑定の鑑定魔法を確立したお陰で、その不具合を避けられるのは助かる。」


聖女だけに依存しない、結界維持の為に必要な魔力保持者の人数は多い方が良い。


「魔物を侵入させない為、と言う建前はあるが……。」

「真実は庶民に必要無い。今の聖女とやらが可笑しな誘導をしない限りは。」

小さな綻びを生み出すかもしれない人間は無視出来ない。


「建国の聖女が長い時を経て、傾国の聖女になるとは。残念ですね。」

「傾国の時点で、すでに聖女とは呼べないのだがな。」

しかしながら貴族の間では、聖女という呼び名は最大の皮肉になっているのだった。


オゾン層的なそれ

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