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断罪とは

無縁でした。


アイザックとナイジェルのやり取りを聞く限り、この婚約は正式なものとなるのだろう。

貴族令嬢として結婚は絶対の義務だとは理解しているし、ナイジェルならば嫌ではないと思う自分もいる。


「結婚、かぁ……。」

思わず呟いたチェルシーに、ふたりの視線が向く。

「まだ卒業まで三年あるからね。ゆっくり考えると良い。……ナイジェルが馬鹿なことを言い出して、卒業式で婚約破棄を言い出したら、セイリオスに来ると良いよ。」


例えば仮に、今後ナイジェルがマリアを選ぶ事になったら、それもあり得るのでチェルシーは安堵のため息を吐く。


「その時は、よろしくお願いいたします!」

「うん、約束しよう。皆、証人になってあげなさい。」

ひらひらとアイザックが手を振れば、ナイジェルの護衛まで頷くので、笑えない。


「叔父上!私がそんなことをするとお思いで?」

不満そうというよりは、拗ねた顔でアイザックの袖を握るナイジェルに、アイザックは笑う。


「では、少し約束を変更しようか。ナイジェルとチェルシー嬢が喧嘩をした時は、うちに家出してくると良い。誰も逆らえないからね。」

アイザックがにっこりと笑って言えば、ナイジェルの顔がひきつる。


「叔父上は……チェルシーの事が好きだったりしますか?」

「ナイジェルの思う意味では無いよ。それに、前世の記憶があるとね。お祖父様すら孫だと思ってしまうから無理かな。」


ほっとしたような、少し残念な気持ちがチェルシーの心に落ちる。


「お祖父様が孫って、ただの事実じゃないですか……。」

「そうだね。さて、とりあえず今年いっぱいはこちらに居るけれど、年が明けた後に戻ってくるかは分からないと伝えて置くよ。」


マリアの事は一応解決したのだから、当然の事だろう。


「なんて事だ……。結局、叔父上と一緒に授業を受けられなかった。」

がっくりと肩を落とすナイジェルに、アイザックは肩を叩く。

「ならば、年明けからナイジェルが私の国に留学しても構わないよ?」

「そ、それは魅力的なお誘いですね。」


ナイジェルの顔がぱぁぁと明るくなって、そわそわし出す。むしろ、学園のレベルも国力的にも、そちらの方が正しい。


「チェルシー、君も良かったら一緒に留学するかい?」

「え?よろしいのですか?」

まさかのナイジェルからの誘いに驚けば、アイザックは楽しそうに笑う。


「ふふ、むしろ最初からそうすれば良かったかな?ナイジェルもチェルシー嬢も、セイリオスに留学していれば、煩わされる事はなかったよね。」


気付いても言って欲しくなかった。

せめてナイジェルだけでも、セイリオス帝国に留学してくれていれば、チェルシーは断罪を心配する事はなかっただろう。


「あぁ、でも自称聖女を放置するのは得策では無いから、その心踊るお誘いは、今で良かったと思います。」

「そう、ナイジェルもちゃんと、王子としての自覚があって、嬉しいよ。」


アイザックに、わしゃわしゃと大型犬を撫でるようにされて嬉しそうに尻尾を振るナイジェルの幻覚が見えたチェルシーは、とりあえず拝んで置いた。


タイトルが毎回思い付かなかった……!

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