ご報告と……
次の話が最終話で、ざっくり創作設定の掲載と共に完結となります。
マリアとのやり取りを上手くまとめ、アイザックたちに報告すれば、とても感心された。
「やはり女性の事は女性に任せた方が良かったと言うことだね。」
ほぅっと息を吐くアイザックに、チェルシーは控えめに首を振る。
「いいえ、始めにしっかりとアイザック殿下がお話して下さったお陰です。」
「そう。役に立てたのなら、良かった。それに、これでナイジェルが煩わされる事が無くなったかな。」
マリアが喉元過ぎれば…なタイプじゃないことを祈るばかりだが、そわそわしているナイジェルがいるので、とりあえず口を閉じた。
「結局、私はなんの役にも立てなかった。チェルシー、負担を掛けてすまない。」
しょんぼりとして肩を落とすナイジェルに、チェルシーはパッと扇を開いて口元を隠す。
マリアと話をがっつりしていた影響で、数日経っても淑女の仮面が剥がれそうになるのだ。
「ナイジェル様、その顔はお可愛らしいので、他の女性にはお見せにならない方がよろしいかとっ。」
この発言もその影響が出ていると思うが、可愛いので危険だと思う。
「ん?んんん?チェルシー?」
困惑しながら、少し顔を赤らめるナイジェルが腰を浮かせるのを見て、アイザックがくすくすと笑っている。
それも可愛いので止めた方が良いが、危険な護衛が常に目を光らせているので、沈黙を守る。
「そう、ナイジェルが可愛い、か。情はちゃんと育っているみたいだね。」
「……でも、チェルシーは私との結婚は、余り考えていないみたいです。」
愚痴のように溢すナイジェルに、アイザックはチェルシーを見た。
「まぁ、聖女サマの件があって、形ばかりの婚約だったからね。チェルシー嬢を伴侶にと本気で思うならば、君と王家から再度申し込むべきだよ。」
アイザックに言われ、チェルシーはハッとする。
どうしてか、卒業式まで聖女問題が続くと思っていたし、卒業式前後で婚約破棄になると思っていたのだ。
「そ……そうですよね。今回の婚約はヘンウィック嬢の件で結んだものという建前があったのだから、ちゃんと申し込まなくては……。」
「建前って……?」
建前も何も、マリアの件が厄介そうだったから、婚約者がいた方が良いということになったのでは。
「魔力が高くて自称聖女とはいえ、男爵家に監視のため養女にさせただけでも、充分に大げさなんだよ。」
「チェルシー嬢も異世界転生者だというから、建前があった方が、婚約は受け入れやすかっただろう?」
ゲームや物語では、幼いうちから婚約者がいるのは当たり前の事象だが、この世界では候補が何人か居たとしても、卒業後に正式に決定されるのだ。




