真実を知らせる
さてマリアだが、誰も攻略出来ていないらしいと言うことなので、このままだと良くてノーマルエンドの教会聖女。
バッドエンドだと国外追放になるとチェルシーが説明をする。
「国外追放って、その物語の中で聖女は何をしたのです?げぇむの聖女はまともな聖女でしょう?」
タチアナが思わず口を挟めば、アイザックがくつくつと笑う。
「まともな聖女が国外追放か。アレが国外に放出されるのは迷惑だが、まともな聖女ならば歓迎されるだろうね。」
ぶっちゃけた話をするならば、全ての攻略対象者の好感度がどれも中途半端に上げすぎると、バッドエンドになる。
具体的に言うと、悩みを打ち明けてくれた後に、好感度を上げる場面が三度あるのだが、一度目に成功させて、二度目はすっぽかし、三度目で選択を失敗させるのを、全員分やらかすという方法だ。
チェルシーの解説に、いまいち理解しきれないようだが、要は将来の悩みを打ち明けてられるほど仲良くなったのに、上げて落とすような真似をすれば、当然好感度は良くは無い。
「あぁ、あれか。私の他は上位貴族の子息だったな。基本は後継者設定か。ならば、国を混乱させた責任になるのか。」
「しかも、殿下の場合はすっぽかしも、選択間違いも何度か挽回する機会があるのに、無駄にするとか……。」
ゲームのナイジェル攻略は、逆に失敗する方が困難だと言われる位だ。
「話を聞くと、聖女は他国の密偵のようだ。それを国外に出すとか、正気を疑う。」
「でも、アレを見て他国の密偵とは思いませんよね。事実だったら、相当優秀ですけど。」
ちらりとジェイダをみれば、激しく首を振っている。
「密偵疑いで拘束、か。」
「目覚めが悪いなら、適当な国に放り込んで後の始末は任せる方法もあるぞ。」
ナイジェルとアイザックが中々物騒な事を言う。
それも良いかも、とチェルシーは一瞬思ったが、違うっと挙手をした。
「お言葉ですが、その前にマリアへ真実を話してみませんか!」
何故かいまだにマリアは聖女のやらかし事実を知らない。こちらもそれを分かっていて、説明をしていない。
「正直、教育は何度もされているよね。それでも知らないのは、もう世界が教えるなと言っているとしか思えない。」
基礎教育は庶民でも受ける義務がある。
文字の読み書き、基本的な計算、前世の記憶についてと、異世界転生者の功績とやらかし。
「少なくともチェルシーやジェイダの話は聞かないと思います。」
マリアの態度を考えると、話を聞く可能性がこの中で居るとしたら、一人だろう。
「……私か。アレと顔を合わせて話をしなければならないのか。仕方ない、ナイジェルの為を思えば。」
くっと呻いてアイザックは、無念そうにため息を吐き出した。




