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慰労会?



「一ヶ月か。まぁ、頑張ったと思うよ。」

アイザックの膝に懐いているナイジェルの頭を撫で、アイザックは笑う。

「ちなみに好感度はむしろ下がってます。」

他の攻略対象者の聞き取り調査をしているジェイダは、ぱたんと手帳を閉じた。


「可笑しいですね。聖女との交流制限を解除して、私が悪役令嬢を勤めれば、聖女サマは対象者の悩みを解決して、攻略対象に愛される予定だったのに。」

この一ヶ月、マリアを探しては淑女としての注意つつ、時折嫌味を交えて会話を楽しんだのに。


「そもそも、令息たちの悩みとは?私の可愛い甥っ子も、聖女サマに解決して欲しい悩みがあったのかい?」

この一ヶ月ほとんどマリアと共にいて、勘違いさせるような言葉を吐いていたナイジェルは、精神的疲労でアイザックに慰めて貰っていた。


「私の悩みですか?叔父上と同じ学園にいるのに、会話を交わせない事ですね。」

「庶民の生活を知らないのに、立派な王になれるのか、というものですね。ゲームでは。」

絶対ナイジェルの言う悩みでは無いので、首を傾げたアイザックに、チェルシーが知っている悩みを伝えれば、不思議そうな顔をする。


「庶民の生活を知らない人間は、立派じゃないと。では、前世の私はろくでもない皇帝だったみたいだね。」

「賢帝と言われたアイザック陛下をろくでもないと。」

ピリッとした空気を纏わせるのは、アイザックの護衛だ。


「はぁ……ヘイマン、落ち着け。実際には言われてもいない。私がただ揶揄しただけだ。それに、言われたとしても、前世の事だよ。」

「嫌ですから。いつの事であろうと。」

「同じ護衛でも、クリスはこんなに慕ってくれない気がします。」


護衛たちの名前を初めて聞いたな、とチェルシーは少し驚く。気軽に名前を明かしてはいけないのかも知れない。

「チェルシーの護衛は、一緒に入学したから呼んでも良い筈だよ。」

「公爵から特に言われていなければ、自由に呼ぶと良い。ヘイマンは周りに知られて、他人に気安く呼ばれるのが嫌だと言うから、普段は呼ばない。」


どっちもイケメンだもんなぁ、とチェルシーは心得たように頷く。

そういえば、ジョージもチェルシーが気軽に呼んでいるからか、女子から比較的気安く話しかけられていた気がする。


「マリアも護衛の方々にご迷惑を掛けていたでしょう。深くお詫び致します。」

ジェイダが頭を下げるのを、ヘイマンとクリスは見向きもしないが、ジョージは困ったようにチェルシーを見た。


「こういう場合の謝罪は、護衛の主人が受けるものだ。気になるようなら、返事をしてあげなさい。基本的には聞いてあげるだけでも充分だな。」

アイザックからのアドバイスに、ますますチェルシーは困惑する。


「チェルシーはきっと、ジョージが困ったのに自分が良いとも悪いとも言えないと思っているかもしれないけれど、彼らの仕事が疎かになっていない限り、流す方が無難だよ。」

的確にチェルシーの気持ちを考えてくれて、ようやく頷く。


「ジョージ、女の子たちが迷惑だったら言ってね。私とタチアナで守ってあげるから。」

任せて、と胸を叩いたチェルシーに、当然だがジョージは戸惑った。


「それは……どうかと。」

「上手くあしらえるようになるのも、護衛の技術だぞ。」

一言も喋った事のなかったクリスが、ジョージに笑って言った。


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