聖女とは2
何か悪いことを言ってしまったのかと焦るが、ナイジェルも同じような顔をしているので、どうしていいか分からなくなる。
「チェルシー様、マリアを放置しているのは、いまだに決定的な何かをしていないからです。」
「私としては殿下への不敬罪で、そろそろ始末しても良いと思っていますが……。」
アイザックの護衛が物騒な事を言うが、侍女を呼んだ時に、ついでとばかりにナイジェルとチェルシーの護衛が戻ってきたのだが、うんうんと頷く。
「護衛の発想が相変わらず物騒。」
「ごめんね、こんな話淑女に聞かせるべきじゃないよね。」
ナイジェルが申し訳なさそうに言って、チェルシーの手に触れた。
「い、いえっ!大丈夫です。流石に目の前で斬り捨てられたりとかされるのは無理ですが、お話くらいならっ。」
「だそうだ。お前たち気を付けろよ。」
気を付けろって何に?!と聞きたいが聞きたく無い。
「せめて学園を退学にさせられれば良いのですが……。彼女はそこのさじ加減が上手くて、学園どころか家からも退学までは、と言われてしまいます。」
一応マリアの家族であるジェイダが、鬱々としたため息を吐いた。
「ゲームで聖女といえば、教会の管轄になるのですが、何か言ってくる気配はありませんか?」
聖女の扱いが扱いなので、関わりたくないのが本音なのだろう。
「一応、面接はしました。が、常にあの調子だったので、聖女を名乗られるのは迷惑との事です。」
「聖女って、何なのでしょう。あちらの世界では光もしくは聖とか白、みたいに純真無垢な印象を持たせる、限られた人だけが使える魔力を持つものを指してました。」
セカキミの世界であるのに、魔物も見ないしゲームでよくある穢れも目立って発生していない。
その中で聖女の必要性はあるのだろうか。
「もともと、聖女とはセイリオスの建国後百年辺りでは、聖なる光を扱う女神の代行者だった。」
だった、と過去形で話すアイザックに、チェルシーは家庭教師の話を思い出す。
「ひとりの少女が世界を、背負う。」
なんて重いのだろうか。
少なくとも、建国の聖女と呼ばれた少女、後に女王となったひとは、背負わされたのか。
「建国の聖女は……あぁ、いい加減名前でお呼びしないとね。アルリシャ・セイリオス・マグウェイは、それはもうお元気な女性だったと。異世界転生者共通かもしれないね。」
「成長過程での魔力の話が出ただろう。心が関係すると。……当初は治癒魔法も光属性特有だったし、その光属性も希少とされていたらしい。」
あくまでも伝聞による話なので、どことなく曖昧さが漂う。
それもこれも建国の聖女が、聖女だけのものという枠をぶち壊した結果、希少もなにも無いからだ。




