聖女像……?
イメージとしては女神像的な物があっても可笑しくは無いと思う。
少なくともゲームでは、女性の像が建っていた。
「建国の聖女が嫌がったと記録にある。自分の姿が世界全土に永遠に残るなんて、冗談じゃないと。」
「姿絵ならうちにもあるよ。チェルシーは見たことないよね。ギリ王家なら残っていても許されたから。」
侍女に頼もうと思って、そう言えば下がらせた事を思い出し、ナイジェルの動きが止まる。
「新しいお茶を貰おうか。そのついでにお願いすると良い。」
リンッとアイザックがベルを鳴らせば、侍女がしずしずと入室してくるので、ナイジェルが手短に用件を伝えた。
「王家なら許されたと言っても、まさか他国に渡るとは思っていなかったけれどね。」
「でも全土に結界の為の柱を建てたのは、建国の聖女様でしょう。」
「あの柱ってどういう仕組みなのでしょう。年に一度補修されるのでしょう?」
年始めの祭りの時に、各国の王族は己の国で一番大きな柱に詣でて、魔力を注ぎその魔力が国中の柱に送られるのだ。
「本当は年に一度までしなくても平気だが、では何年空けても問題無いかは、分からないからね。」
「あぁ、ではアイザック様は年末には帝国に一度ご帰国なさるのですね。」
あくまでもアイザックはセイリオス帝国の皇子なので、ジェイダが残念そうに言えば、ナイジェルもへにょりと眉を下げる。
「年末は叔父上と一緒に過ごせると思ったのに……!」
「魔力が多い私が柱を詣でなくてどうする。……それに聖女サマ問題を年末まで解決しないつもりか?」
護衛もろもろが追い払っているとはいえ、鬱陶しいことこの上ないマリア。
「そもそも、どうしてマリアを泳がせているかお聞きしても?」
侍女が持ってきた、建国の聖女の姿絵を見ていたチェルシーが顔を上げて首を傾げる。
「泳がせる……とは?」
「あ、こちらにそう言う表現は無いのですね。拘束しないで自由にさせる、みたいな意味ですね。」
チェルシーの説明に男性陣は微妙な表情で顔を見合わせた。
「自由に泳ぐ……?」
「川とか湖に突き落とされた時に、溺れないというか、沈まない程度には訓練させられたが、水の中を自由に泳ぐという発想が理解出来ない。」
「あー漁師などは流石に不自由なく泳げるだろうから、海辺地域では使われているかもしれないな。」
チェルシーの何気ない発言で大いに話がずれている。
「すみません、気にしないで下さい。ほら、マリアを放置する話に戻りましょう!」
力強く主張すれば、どうしてだかアイザックが面倒くさそうな顔をして、手を振った。




