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魔力の量は

ゲームプレイヤーの共通認識、特殊性癖には配慮していないセカキミ。


ジェイダの名前が出されて、ナイジェルは気付いたようだ。

「では、ジェイダとアレは姉弟では無い?」

「ええ。特殊性癖に配慮したゲームではありませんでしたから、聖女は普通に男爵との血縁関係はありません。」


何故かアイザックが難しい顔をしている。

いつの間にか、存在をしっかり消していた護衛が、苦笑混じりに咳払いをした。


「ご令嬢が特殊性癖などと、言葉に出されるのは、感心しませんよ。」

語尾にアイザック様の御前でと苦情が付いていそうだが、もっともなので扇を広げて口元を隠す。


「失礼致しました。」

「チェルシーは時々そう言う所あるよね。ちょっと面白い。」

「うん、まぁ良い。公式の場でも無いしな。私も年寄りの意識があるから頭が固い。気を付けよう。」


ナイジェルのフォローに、アイザックも頷いて言うので、特殊性癖発言の話は終わりだ。


「アレとは血縁関係で無いというのは、事実ですか?」

「そういえば、鑑定魔法は使わなかったのか?それで分かるだろう。」

血縁の近さを鑑定出来る魔法を使えば、一目瞭然だった筈だ。


「マリアに使うと不具合を起こすので、鑑定出来ていないですね。」

「鑑定魔法は鑑定する対象より魔力が高い人間じゃないと使えないからな。成長して魔力が上がりきる前に鑑定するのが普通だ。」


生まれ持った資質も当然あるが、成長過程での生活環境も魔力の増加に関わってくる。


「え……つまり、び、貧困だと魔力が育ち難い?」

「多少は影響するだろう。ただ身体の栄養よりも心の栄養が大事だとされている。聖女サマは異世界転生者として目覚めた瞬間、魔力が格段にあがったと報告を受けたし、前世の記憶が影響したかもしれないね。」


チェルシーは思い切り頭を抱えたい。

淑女としてそれは出来ないので、代わりに立ち上がって、窓際に立った。


「チェルシー?」

「……いえ、前世では家族に虐げられる令嬢が、追放とか政略結婚の先で愛されて幸せになるという物語が流行っていたのでギャップが……。」

「あぁ、それでは魔力が増えないよね。増えないということは、家族がその子を虐げている証になるから、良くて家の取り潰しだね。」

この世界の仕組みが適用されると、物語が成り立たない。


「そっかー、リアルは違うんだなーと思ったところです。魔力が少なかったり、もしくは無かったりする令嬢が虐げられる読みものが多くて……。」

「昔は魔力がほぼない貴族というのも居たけれど、そういうこともあるって認識だった。でも、実は違った。」

アイザックが悔しそうに言って、唇を噛む。


「でも、叔父上は前世でそれを改定したのでしょう?それで虐げられる状況から救われた者もたくさんいる筈です。」

「うん……。」


少し傷になったアイザックの唇に、チェルシーは窓際から戻ってそっと指先を伸ばし、治癒魔法をかけた。


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