キャラ崩壊しそうです
元おたくなので。
「……うちの血が入った者は、自分よりも魔力の多い人間に惹かれやすい。強い者が好きというやつだね。」
困ったように言って笑う姿をチェルシーは直視出来ない。
ナイジェルも顔は良いが、目の前の彼は容姿だけでなく、雰囲気すら極上なのだ。
「それでは、ナイジェル殿下が聖女に惹かれているのでしょうか。」
マリアは自称聖女なだけあって、魔力は多い。
下手をすると公爵家のチェルシーよりも。
「それはないよ。」
はっきり断言する言葉に、そんなことはわからないだろうと言いたくて、顔を上げれば艶やかに微笑まれた。
「ナイジェルは私の方が好きだから。より強い者が側にいるのに、わざわざ厄介な相手を求める必要はないかな。」
「で、ででででも、あのこっこっこ、み、みりょうがっ!」
速攻で視線を外したが遅かった。激しく動揺しながらも理由を告げる。
「アイザック殿下、いたいけな少女で遊んでは駄目ですよ。」
「うん、そんなつもりは無いけれど……魅了か。」
なる程ね、と呟いて顎を撫でる仕草に視線が外せなくなった。
「エディソン嬢はナイジェルの事は好き?」
アイザックの雰囲気がすっと和らいで、チェルシーはハッと我に返る。
「あ、え……好き?」
ぱちぱちと瞬きをするが、聞かれたことが飲み込めない。
「想う人がいると魅了はかかりにくいのだけれど……。うーん、ナイジェルはまだまだみたいだね。」
「殿下とは政略結婚みたいなものなので。」
ようやくナイジェルの事を好きなのかどうかと聞かれた事に気付いた。
「結婚する気はあるみたいだね。」
「ナイジェル殿下だから、と言えれば良かったのですが、貴族の義務でしょう。」
キリッとした表情を取り繕えば、アイザックが目を細める。
「身内贔屓が入るけれど、あの子はなかなかお買い得だと思うよ?」
「……まだ、物語の強制力が私には怖いです。」
絶対無いとは断言出来なくて、ぐっと膝の上で拳を握った。
「そればかりは、私もどうしようも無い問題だな。……これが作り物であるならね。」
「そういう話は前世でいくつも目にしてきました。ヒロインの望むように進む、お話を。」
だから、自分も断罪されるのでは無いかと思うと、ヒロインに近付くのも、婚約者のナイジェルに近付くのも遠慮したい。
「でも、そうではない話もあるだろう?」
微笑みに流し目で言われて、令嬢らしからぬ声が出そうになる。
「殿下。」
「何もしてないじゃないか。」
彼の護衛が一言呼べば、アイザックがむっとして護衛を見上げて睨むので、思わず拝んでしまったチェルシーは悪くない筈だ。




