4 危機
男は絶句した
妻が、いや、妻と思わしき焼き焦げた肉の塊が、少女に食われていた。
少女は男に目もくれず、妻の肉を貪っていた
「リっ………リエロッ………」
思わず妻の名前を呼ぶと、少女がこちらを向いた。
「…いい魔力量、『2人目』には劣るけど、こっちのほうが美味しそう…」
少女が何を言っているのか分からなかったが、男は少女に向けて、剣を抜いた。
「お前…お前がリエロを?殺っ……焼……?」
「ええ、私が…」
答え終わる前に、男は少女の首をめがけて
剣を振った。
少女は身を返し、剣を避け、
側面から剣を蹴り折った。
「【発火】」
男の身体に炎が舞う。
少女は勝ちを確信した……が、
「【拒絶】」
男の身体から、炎が消えた。
「……驚いたわ、終わったと思ったのに。」
「お前……魔術…、悪魔?お前悪魔なのか??
俺は妻も子も、悪魔に喰われてんのか??」
男の手が震える、怒りに満ちた目で少女を見つめる。
(……これは、まずいかも…)
少女がそう思った直後、男は折れた剣で少女の胸に剣を突き出した
「……ッ!」
少女は胸に剣が突き刺さるギリギリで身を逸らした。
「……首よりも胸狙われた時に焦るってことは、お前、やっぱり悪魔なんだな…??
そりゃそうだ、悪魔は胸刺したら死ぬもんな、5年前に知ったよ。」
(まずいまずいまずい、舐めてた、完全に舐めてた。まさかこんな所に、悪魔の殺し方を知ってる人間がいるなんて……ッ!)
(……いや、冷静になりなさいレーヴ!5年前に悪魔が出没したんだからそりゃ対策してるでしょ!!馬鹿!!)
自分に対して叱責しながら、家の外に向かって走る。
「【強化】、脚。」
しかし、背を向けて逃げる少女より、身体強化魔法を使い、それを追いかける男のほうが速い。
男が踏み込み、その脚力に耐えられず、
家の床板と男の脚骨が割れる音を聞き、
振り返った少女の目には、
既に剣を振り下ろそうとしている男が映った。
(や、死…………)
(………死んで……ない?)
少女がゆっくり目を開くと、目の前には胴体が裂かれた男の死体と、額から角を生やした少年が立っていた。
少年は、少女をじろじろと見て、口を開いた。
「…すっっっっっげえ馬鹿だね…キミ……」




