1 レーヴ
「ん……今日買った奴隷はこれで全部か?」
丸々と肥え、片手に酒瓶を持った男が髭を撫でながら問う。
「はい、予算内で一級品の物を集めました!」
問われた若者が、声を張り上げて答える。
「どれもこれも、ご主人様の好みであろう物を…」
そこまで言ったところで、若者の頭に男の酒瓶が振り下ろされた。
「馬鹿者が……儂は8から12の雌と言っただろうが…。
誰が20、30の初老を抱きたいと思うんだ?」
既に意識を失って倒れた若者の頭を、高級そうな靴で踏みつける。
「チッ……気分がすこぶる悪い…。
おい!この糞ったれを片付けておけ!儂は部屋に戻るぞ!」
周りにいた使用人に唾を飛ばしながら命令する。
「……さて…と、貴様、儂の部屋に来るがいい。貴様にはこの儂、『シュドルツ・フォン・ハイツ』が直々にこの家のルールを叩き込んでやろう…。」
男が10歳ほどの女奴隷に、汚らしく笑みを浮かべながら言う。
「貴様は中々儂好みだ……。貴様ならば、儂の言う事を聞いていれば、この家で厚い待遇を約束してやろう……。」
そんな台詞を吐きながら、男と奴隷が部屋に入る。
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「ふぅ……これで一通り片付いたかしら…」
若い使用人が床に付着した血を拭き取りながら言う。
「それにしても…ご主人様遅いわね…。
……あの子、大丈夫かしら。ご主人様に目を付けられて……。」
「こら!あんまり大きい声で言うんじゃないよ!」
若い使用人の言葉に、壮年の使用人が答える。
「……あんたはまだ新人だから分からないと思うけど、あの子はもう帰ってこないよ…。」
「えっ………!?それってどういう………?」
「ご主人様はね、「小さい子供の首を締めながらスる」のが大好きなんだってさ…。」
「………っ!?そんな……じゃああの子は……!?」
その時、男の部屋から使用人を呼び出すベルの音が鳴った。
「……ほら、行くよ…あんたもこの屋敷に勤めるのなら、こういうことは覚悟しておきな…。」
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「はい、お呼びでしょうかご主人さ……ま…?」
使用人が目にしたものは予想と違い、先程男に連れ込まれた奴隷が部屋に立っていた。
服は開け、肌には男の体液……………
そして、血が付着していた
「お゛…………ぅ゛…………?」
対する男は、ベッドに全裸で、喉元がぱっくりと縦に裂けていた。
未だ死ねていない男は、声を漏らしながらまるで虫のようにもがいていた。
まだ状況が理解できていない使用人達は、口が開いたまま閉じずに居た。
そして、使用人が目線を奴隷に戻した時。
既に、そこに奴隷は居なかった。
『シュドルツ・フォン・ハイツ伯爵、
腹上死。』という文言は、翌日の新聞の見出しを独占した。
続く




