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第七話 赤ずきんちゃん気をつけて!・4

「明日香がそう言ってたんだね」

 と、二人で第三波を撃って目標を消滅させる。だいぶ疲労が溜まってきたが、その甲斐あってだいぶ数が減ってきた。あとはみんなが到着してくれたら通常の戦闘スタイルを取ることでミッションコンプリートだ。

「はい」

「明日香も考えるタイプだからな。真面目ないい子なんだけど、真面目だからこそ融通が効かなくてやや悲観的なところがある」

「悲観的……ですか」

 確かに救いようのない話だとは思うが、レッドさんがなぜその単語を選んだのかぼくにはちょっとよくわからない。

「ぼくは、それって世界の真理の一つだと思うんです」

「トキオはそう思うんだね」

「はい」

「だけどねトキオ」

 そこでレッドさんは振り向いた。赤い左目はまるでぼくを射抜くように思えた。

 ふふ、と笑って、ぼくに語りかけた。

「この世界に、確かなものなんて何一つないんだよ」

「そうですか?」

「でも、だけどみんな、正解なんかいらないんだ」

 そう……なのかな。答えのない世の中という大前提の世界においても、それでもみんな正しい答えを、あるいは、目に見えない“真実”を求めて躍起になっているようにぼくには思えるのだが——。

 ぼくの考えを読み取ったかのようにレッドさんは続けた。

「だって、どうせみんな優しくされたいって思ってるだけだからね。たとえその場凌ぎの嘘っぱちでも」

「……」

「トキオ。答えなんかないっていうのが全ての問題の答えだったらどうする? それどころか兎にも角にもそうしなきゃいけない、それをやらなきゃいけないっていうのが答えだって言われたら、それこそが君の求めていた答えだとしたら——君はどうする?」

 ––––ぼくはふと、かつて名梨が言っていた言葉を思い出した。

『自己防衛と犯罪を糾弾することは両立する』

 例えば、それが答えなのだとしたら、結局、困っている側が努力しないと世界は平和にならないのだろうか。殺されないための努力をしなければ殺されてしまう、だから殺されないように殺されないための努力をしましょう、それが答えだとしたら、ぼくたちはそれに従うしかないのだろうか。どこからどう考えても殺す側が悪くても、それがぼくらの平和を維持するための答えになってしまうのだろうか。

 あるいは、悪いものが消えないと良いものはやってこないのだろうか。それは要するに、自分たちの手でより良いものを生み出すことはできないということなのだろうか。ぼくにはそれがとても寂しいことのように思えるが、しかしそれこそがぼくの求めた答えなのだとしたら——()()()()()()()()

 ぼくは……。

「ごめんなさい。遅れてしまったわね」

 そこで陰陽連の隊員たちがゲートを潜ってやってきた。

「私としたことが迂闊だったわ」

「遅れちゃった……」

「すみません隊長」

「申し開きできませんね」

「いやいや。来てくれてありがとう」ぼくとの話題を切り上げてレッドさんはみんなに向けて白い歯を見せてニカっと笑った。「トキオのおかげでだいぶ片はついた」

「葛居くん大丈夫?」相沢さんが心配そうにぼくにそう言った。「すごーい疲れてるんだなって感じだね」

「いや。役に立ててるみたいでよかったよ」

「わたしたちも」

 と、みんなで武法具を取り出し、戦闘に入る。

「よし」

 と、レッドさん。

「ま——いつも通りかな。今回、コアっぽいやつがいないから、まとめて一つの群体って感じなんだろう。あとは各々のスタイルでやってくれたら、それでミッションコンプリートだ。いいね?」

「了解!」

 みんなでそう答え、そして、いつものスタイル。麗子さんは大太刀、相沢さんは鉄扇。みんなそれぞれのやり方で問題解決に取り組む——世界を変えようとしている。

 ぼくは思う。思うことを思う。

 こうして、これをこのまま続けていって、ラスト、レッドさんの「合言葉は、イエース‼︎」という言葉で今日は今日の幕を閉じるのだろう。

 それが今日の答えである、ということを思う、ということを——ぼくは思う。

 確かなものなど何一つないのかもしれないが、それでもこれが今日ぼくが辿り着くのであろう一つの答えなのだろうとそう思いながら。あるいはそれが明日には良くない展開を招いたとしても、今日はそうすることが今日の答えなら、ぼくはそうすることしかできないのだろう。そうすることでしか今日の日を越えることができないのだとしたら、兎にも角にもそれをやらなければならないのだろう。ぼくはそう思うのだった。

 それでも、とぼくは思う。それでも努力は大切なのではないか、なんて風に。人と人とは分かり合えないものなのかもしれないけど、だからこそその上でどうすればいいのか、それを達観することも諦観することもなくひたすら考え続けることをやめたくはないと、ぼくはそんな風に思うのだった。

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