06話 俺の名称は
ハァ……。
俺は前回のポイントと共に気分も消失していた。
うおおおおお、燃え上がれ俺のテンション……ハァ……やっぱ上がらないわ……。
上がらない……上が……上がる……上がると言えば……ポイント!!
ポイントといえば……稼ぐ! 稼ぐといえば……野盗!!
『そうだ! 野盗へ行こう!』
そうと決まれば、善は急げだ。俺は早速、野党を探した。
暫くすると、第一野盗と遭遇した。
イタダキマス!!
俺は早速、第一野盗を美味しく頂いた。『pt』も増えて、心持か気分も上がってきた。
次の獲物を求めて走り出す……。
次なる、野盗を見つけたので跳ね飛ばす……。
ウマイ……モットダ……モット……クワセロオオオ!!
「ば…ばけ……」
マダダ……マダタリナイ……。
「な…なんなんだあの炎は? こっちに近づい……」
『ゴオオオオオオオオオオオオ』
……ポイ……ウマ…………。
◇
ハッ!? 夢中になりすぎていてテンション上がるどころか思考が飛んでいた気がする……。
何か野盗が絶滅する勢いで手あたり次第、狩った気がするが……まぁいいか。
さてさて、今回は何が出来るようになったことやら……。
俺は、辺りが真っ暗になった荒野で、カーナビのメニューを見てみる。
『進化』が選べるようになっていた。
これは、そろそろ最終進化になるんじゃないかと思いながら、進化した。
辺りが眩く光り輝く――。
『こ……この輝きは……まさか……』
『点検』を開く。
『名称 大型アートトラック 機械式冷凍車』
やはり、この輝きは通称『デコトラ』と呼ばれるものになったようだ。
早速性能の確認を……周りに何かの気配を……いや複数の気配を感じる。
ミラーで確認すると、光に吸い寄せられる様に、様々な魔物が近づいてきていた。
ま……まずい。
俺は慌てて走り出すと、魔物たちも光に釣られてついてくる。光を消そうとも消せない。
後方の群れは、いつしか津波のようになっていた……。
◇
前方に町の城壁らしき物と口の開いた門が見えてきた。
壁の上から、大きな火の玉が浮かび上がり、俺の後方へと飛んでいき爆発を起こした。
これは、助けてくれるのかも知れない。まずは、意思疎通をしなければ……俺、トラックだからしゃべれないんだった。
話す……何かあったような……思い出した! 俺は早速、『サウンド』から『やきいも』を選択した。
「いしや~きいも! や~きいも!いしや~きいも! や~きいも! 甘くておいしい、やきいもはいかがでしょうか?」
『カン、コン、カン、カン、カカン』
返事とばかりに矢の雨が返ってきた。
ク……やはり日本語じゃ意思疎通は出来ないのか。仕方ない、こうなったら強引だけど、開いている門から中へ入って、停車し、敵意がないことを示せばもしかしたら……。
そんなことを考えている間に、門が口を閉ざそうと動き始めていた。
どうするか……とりあえず可能なら突入してみることにした。
後方で爆発が起こり、更に波が削れていく中、門が閉まるまでギリギリ間に合うかの距離まで近づいていた……。
これがきっと最後の選択になるな……どうするか……。
俺は危険な賭けは降りることにした。
俺の右前方で爆発が起きた。俺を狙っているようだ。
ドリフトをしながら左に曲がる。
次弾が、俺の真上へ迫ってきた……。
『うおおおおおおおお』
ロケットで加速し、何とか逃れることが出来た。俺はそのまま、加速して戦線を離脱することにした。
いつの間にやら、朝日が昇っており、あの魔物の群れはいなくなっていた……。