04話 ハーレ〇っていいよね
『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』
俺は今、荒野にて山賊の亜種こと『野盗』を追いかけまわしていた。
「ま……まだ追ってきやがる……頼むから逃がしてくれ……」
馬に乗った最後の一人の野盗が慈悲を乞う。
俺は、野党の囀りを聞き流しながら、左右をみる。両サイドには心強い仲間たちがいた。
いやー仲間がいるとテンション上がるな……いや、これは仲間というかハーレムと言ってもいいんじゃないかと思いながら、『彼女ら?』との出会いを振り返った――。
◇
ロケット衝突事故の後のこと、カーナビから『進化』を選ぼうとメニューを見たときに気が付いた。
まだ、『オプション』が追加出来ることに!
俺は早速、『オプション』を選択する。
『オプションを追加しますか?』とポップアップされた。
いつもならここで名称が出るはずなんだがと思いながら、『はい』を選択した。
バックミラーを意識するすると、後ろに、黒いバイクが移っていた。
このバイクがオプションなのか。取り合えず走ってみる……バイクが後をつけてくる。
カーナビで詳細を見ようとメニューを開くと、まだオプションを追加出来るようだ。
よし、可能な限り追加してみるか。
二台目は、赤いバイクが現れた。
三台目は、サイドカー付きのバイク。そして四台目は、電動バ……いや違う……これは自転車だ……。
『何故に電動自転車?』と思いながら、更に追加をしようとすると、どうやら上限の様だった。
代わりに隊列を変更出来ることに気が付いた。
隊列を変更すると両サイドにバイクが二台づつ展開された。
おおお、もしやこの名称といい、この隊列って……と考えていると、荒野に砂煙が上がっていた……。
◇
そういや、隊列全部試してないぞ……次の隊列にチェンジだ。
「やばい、馬がそろそろ限界だ……」
俺は野盗が失速してきてることに気づかないまま隊列を変えた。
全てのバイクが俺の周りを円を描くように高速でクルクルと回り始めた……。
その直後、失速してきた野盗にぶつかり、『ドーン』と音を立てて次々にクラッシュしていく。
『セントォォ、ルゥイイイイイス、デルタアアアア、プリンセエエエス……ああああ……そんな……』
折角出来たハーレムが一夜の夢の如く、儚く消えていった……荒野に、俺だけを残して……。