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エミリーの不思議な引き出し
今年のプレゼントは赤色の引き出しだった。エミリーは大喜びでもらったばかりのキャンディケーンをしまった。
次の日開けるとキャンディがなくなっていた。代わりに指輪が入っている。もう一度開けると今度はハンカチが入っていた。
「この引き出しには妖精が住んでるのね!」
エミリーは手紙をそっと入れた。翌朝、返事が入っていた。
「はじめまして、私はナンシーです。八十のおばあちゃんですが、とてもワクワクしています……」
ナンシーは妖精ではなかったが、それ以上に素敵だった。
二人は文通を始めた。歳が離れていても二人は確かに親友だった。
何度目かのクリスマスが過ぎた頃、ナンシーから返事が来なくなった。心配するエミリーの元をナンシーの孫だという青年が訪ねてきた。ナンシーの最期の手紙を渡しに来たのだ。
エミリーは悲しみに暮れた。だが、悲しんでいるのは一人ではなかった。
エミリーと青年は文通を始めた。手紙はやがてラブレターとなった。