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　電車が駅に着く。慌てて降りる。階段を上がる。

　頭の中は今見たストーリーがぐるぐる。ため息をつく。

　笑顔で写る2人。ぴったりくっついて、顔を寄せて、デレデレしちゃって。幸せだと顔に書いてある。

　嫌だ。嫌になる。喜べない自分が嫌だ。でもおめでとうってDMする。信号が青になる。

　どうせくっ付くって分かってた。勝負は決まってた。実らないって分かってて好きになる程馬鹿じゃない。好きになってたら今もっと辛かった。良かった。振られて惨めになるよりマシだ。どうせ私はあの子になれない。あんな風に笑えない。私は賢い選択をしたんだ。ほら涙だって出てこない。でも苦しい。息苦しい。

　これでよかった。正しかった。私は間違ってない。はず。

　なら、それなら、どうしてこんなに苦しいの？

　前を睨みながら歩く。意地で背筋を伸ばす。

　これからも友達として笑顔で2人を見守らなきゃ。ああ馬鹿な私には失恋する権利もない。

　この気持ちに名前をつけなさい。