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試し打ち

 空間に吸い込まれた俺は、意識が薄れていくような感覚に襲われる。


 まさか、俺の意識を奪おうなんてな。片腹痛いわ。俺が意識を手放すときは睡眠の時だけだ、それ以外は絶対にありえない。俺がそう決めた!!


 強い眠気のようなものを感じるが、目をバッキバキに開けて全力で抵抗する。この状態へと至った俺の意識はたとえ神でも奪うことはできないだろう。3徹も楽勝だぜ。


「俺に魔王を倒す使命を与えるとはあの神様もいい役を貰ったな。この世のすべての主人公である俺に関われた時点で人生に大きな意味を持ったと言っても過言ではないだろうな。何をしても俺が主人公なんだ」


 いろいろ考えていると、真っ暗だった空間に一筋の光が差し込んだ。


「来たか。これから俺はまた新たな世界へいかなければならない。この超絶奥義ファンタスティックロイヤルブレイクモンディベートをもってすれば世界など容易に救えてしまうが、出し惜しみをするのはダサいしな。一気に決めちまうくらいの勢いでいこうか」


 俺の予想はあっていたらしく、光がだんだんと強くなり、気が付けば広大な草原に俺は立っていた。


「どういう手品なんだ? ここは流石は神と褒めておくべきところか。俺の技に比べれば児戯のようなものだが、なかなか見どころのあるものだったぞ」


 誰にいうわけでもなく、虚空へ向かってつぶやく。

 こういう意味ありげなつぶやきが後々生きてくることを俺は長年の経験から学んでいる。一見意味のない行動も俺がすることによって特別な意味を持つものへと変化するのだ。このつぶやきですら今後とんでもない影響をもたらすことは間違いない。


「さてと、こんな草原のど真ん中に俺を連れていくとはな。あの神様も気がかない、これじゃあ、移動が面倒じゃないか」


 軽く周囲を見渡すが、どこまで広がっているかのように感じる草原が広がっているだけだった。

 これでは、俺の活躍を目撃するものもいない。それどころか、物語を始めるための役者が一人もいない。

 俺に一人で物語を作れということなのか? そっちがそう来るんなら俺にも考えがあるぞ。


「ここで超絶奥義ファンタスティックロイヤルブレイクモンディベートをぶっ放してやろうじゃないか。もしかするとこの星ごとチリへ帰る可能性はあるが、物語の導入は意外性を求めていかないとしょうがないからな」


 俺は超絶奥義ファンタスティックロイヤルブレイクモンディベートを放つためのために入る。

 時間にしておよそ0.001秒。もはや誰が見ても俺がこの技を繰り出すためのためをはさんだことを理解することはできないだろうな。この一瞬で俺は星すらも破壊してしまうかもしれないほどのエネルギーを両手にため込んだ。


「超絶奥義ファンタスティックロイヤルブレイクモンディベートォォォォーーーーー!!!」


 たまたま向いていた方角にぶっ放す。


 ゴォォン!! ゴゴゴゴゴーー!! ズガン!! ボゴゴゴゴォォーー!!


 俺の目の前には地獄のような光景が広がった。

 俺が放った超絶奥義ファンタスティックロイヤルブレイクモンディベートは雷を呼び、地獄の炎すらも呼び出す。そのすべてが吹き荒れ、炸裂する。流石に開幕から星を破壊してしまうのはもったいないので、威力は100分の1ほどに抑えている。それでもどこまでも続いているように感じていた平原は見る影もなく消え去っていた。


「威力を抑えてもこれか。すさまじい威力だな、俺の奥義は。これならば、どんな相手が来ようが俺に怖いものなしだ。今まで使っていた奥義がかすんで見えるほどの超絶奥義か。なかなかいいじゃないか」


 冷静に超絶奥義ファンタスティックロイヤルブレイクモンディベートを分析するが、その間も俺の目の前では威力を衰えることのない雷、炎、暴風が暴れている。地面はえぐれ、草なんてすべてが燃えて灰になってしまった。


 ちょっとやりすぎてしまったな。超絶奥義ファンタスティックロイヤルブレイクモンディベートは簡単に打っていい技ではなさそうだ。俺の力量なら連発することもたやすいが、この星が先に根を上げてしまうだろうからな。


「これはもう放置して俺は逆に向かうとするか。この世界で俺に与えられたものはこの超絶奥義ファンタスティックロイヤルブレイクモンディベートだけだからな。素直に歩いて行くしかないか。退屈だ。勇者として邪神の討伐なんてものはただの小目的でしかないからな。早くこの世界を救って、宇宙へと進出しようじゃないか」


 現在進行形で荒れ果てている平原を背に、俺は次なる目的地を求め、歩き出した。


「待っていろよ。邪神ゴンダロスゲルニオン。俺が片手間に屠ってやろう。なぁに、俺の物語の一部になれるんだ、これ以上光栄なことはないに決まっている。ああ、でも少しくらいは歯ごたえのある相手だと俺も楽しめるんだがな。所詮は超絶奥義の前に散る存在だとしてもそこまでで俺を楽しませるくらいの力は持っていてほしいところだ」


 邪神の力を期待しながら俺は超絶奥義の効果的な使い方を考えることへの余念はない。時間は誰しも有限。それは俺にとっても一緒のことだ。最大限効率的に使うことが人生を楽しむためには必須のスキルだからな。

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