お弁当の時間 ~ミートボール争奪戦?~
この作品は黒森冬炎様主催企画『狭いところで槍』参加作品です。
三本槍が狭い箱の中を動く。
「ちょっと、よこしなさいよそのミートボール!」
「は? なんで僕の弁当の具をお前なんかにあげなきゃいけないんだよ」
加奈ちゃんは三本槍改めて、ちっさなフォークを振りかざしてくる。
先は鋭くないおこちゃまフォークでも銀のきらめきは完璧だ。
僕は青い色のプラスチックのフォークで攻撃を防ぐので手一杯だ。
「はん。だってわたしミートボール大好きなんだもん!」
「だからってなんであげなきゃいけないんだよ!」
僕は繰り返して言う。
「紘くんの物はわたしの物同然だからよ」
訳が分からない!
幼い僕でもそれくらい分かるぞ。
「と・に・か・く! ミートボールよこしなさい!」
「嫌だー‼」
ぐぬぬぬ、とフォークとフォークがせめぎ合う。
そこへ。
「こおら! 紘くんと加奈ちゃん! フォーク同士で遊んじゃあ駄目でしょう!」
「「まほみ先生」」
「お弁当はそれぞれの自分のものを食べる事。いいね、加奈ちゃん?」
「はーい」
加奈ちゃんは不貞腐れて自分の弁当箱からミートボールをひょいっと口に入れて返事をした。
自分の所にもあるじゃん!
「紘くんもお弁当の時間終わっちゃうからね」
「はーい」
とある保育園、ゆり組のお弁当時間の一コマでした。
ふと企画概要を見て思い付き書きました。
一応、童話です。
皆さんはフォーク同士で遊んじゃ駄目ですよ?
お読み下さり、本当にありがとうございました。