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77/78

これからの私は・・・

今回をもって、本作の完結となります。

第1部の完結といった感じになります。


これまで、お読みくださった皆さん

本当にありがとうございます。


オマケとして

時系列や登場人物をまとめた資料を作ってますので

こちらは明日までにアップさせていただきます。

お暇があるときにでもご覧下さい。



本作の続編含めて、次回作は現在まとめ中です。

遅筆なもので、ある程度書き溜めた後で

今年の4月頃を目途にして連載開始しようと思っています。

諸々については活動報告の方でご案内させていただきますので

何卒よろしくお願いいたします。


今後の参考にさせていただきたいので

評価やご意見ご感想などもあれば

是非よろしくお願いいたします。

 20XX年8月13日、朝起きて気づいたんだけど金曜日だった。

 迷信深い質じゃないし、いちいち気にしないけどね。

 そんな古臭い定番の迷信なんて吹き飛ばすほど、関東地方はとっても良い天気だし。


 で、もちろん猛暑なんだわ。


 まだ午前10時だってのに、気温は摂氏34度もある。

 世界の融合で、温暖化の速度が少し鈍くなったって言われてるけど、ホントかな?

 全然、そんな気がしないよ。

 7月に秋田でモンスター退治の一仕事終えて、東京帰って来て以降、最高気温は常に35度オーバーで連日の猛暑日だし、命の危険がある気温ってのが続いてる。


 早く秋になんないかなぁ~


 「それにしてもさ、秩父って田舎だから、少しは涼しいかと思ったけど、これって東京よりも暑っついんじゃないのかな? 」


 (でもね、埼玉だからね。しょうがないよ。)


 今、私たちがいるのは埼玉県秩父市。

 四方山に囲まれた盆地だから、確かに暑いのはしょうがない。

 途中でコンビニに寄った時、車から降りた途端、車内との温度差で眩暈がしちゃった。

 田舎に行ったら涼しいなんて、勝手に思い込んでた私が悪かった。

 

 (ところで、車は何処に停めるの? 田舎でも路駐はダメでしょ? )


 「それなら大丈夫。知ってるお蕎麦屋さんの駐車場に、いつも停めさせてもらうことにしてるから。」


 この3年、秩父には何度も足を運んでいる。

 年に4回以上は訪れている感じ。

 だから、いつの間にか顔見知りもできている。

 これから駐車場を使わせてもらうお蕎麦屋さんもそう。

 お客さん用駐車場の端に愛車の中古RVを停めて、一応断りを入れるためにお店の入り口に回ったら、


 「おっ、久しぶり~ これからお墓参りか? 」


 偶々お店の前で打ち水してたご主人が、私に気付いて気軽に声を掛けてくれた。


 「お久しぶりです。ええ、これからお花屋さんによってからお墓に行きます。また車置かせてください。」


 「ああ、オーケー。帰りに寄ってってなぁ。」


 「よろしくお願いします。後で寄らせてもらいます。」


 「手合わせる時にはさ、俺からもよろしくって伝えといてくれ。それと、暑いから熱中症に気をつけるんだぞ。」


 「はい、伝えときます。ありがとうございます。それじゃあ。」


 挨拶を終えて、私はお店の裏手にある駐車場に一旦戻る。


 「お待たせ! 車椅子降ろすから待っててね。」


 (うん。ありがとう。)


 愛車のハッチバックを開けて、折り畳み式の電動車椅子を下した。


 (サヤチは相変わらずの頼もしさだねぇ~ )


 重さ40キロはある電動車椅子を片手でヒョイと持ち上げるようなこと、人目があったら絶対にしないよう気を付けているけど、開店前のお蕎麦屋さんの駐車場では他に車は停まってないし、周りに人の姿も無いから大丈夫。

 テキパキと組み立てて、バッテリーの装着も速やかに完了。

 以前はメカっぽいものや電気製品は苦手だったんだけど、モンスター狩りの“B-HUNTER”なんてやってたら、必要に駆られて色々勉強してるうちに得意分野になっちゃった。


 「これでオーケー! 乗せてあげるよ。」


 (えーっ! それはヤダ! そのぐらい自分でできるし。)


 せっかく、車の助手席からお姫様抱っこしてあげようと思ったのに。


 (だって、恥ずかしいじゃん! )


 この子、なに照れてんだか、赤くなってる。

 女同士だし、親友なんだし、別に良いじゃん。


 (だって、なんかさ、最近のサヤチって・・・ まあ、良いや。)


 最近の私がなんだって?

 何がまあ良いの?


 (ちょっと、雰囲気的に女の子とは思えないっていうか・・・ カッコ良いってみんな言ってるし、なんか意識しちゃうよ。)


 え? 何それ?

 私って、正真正銘の女子ですよ。

 腕力的には女子どころか人間離れしてるけどね。

 そういえば、大学に入学してから2回ほど女子に告られた。

 その時は、あんまし深く考えずに、


 「ああ、同性が好きな子もいるんだよなぁ~ 」


 って思ってたくらい。

 そんなに悪い気はしなかったし、女同士ってのもアリかなっても思った。

 でもまあ相手が男女関係無く、そん時は恋愛とかする気なかったから普通に断ったけど。

 なんかさ、もしかして私って、女子が魅力感じるくらいに逞しくなっちゃってたりするわけ?


 (・・・うん。)


 何頷いてんのよ!

 私は、細くて華奢で柔らかい女子を目指してたのに!

 どういうこと?


 (外見がどうこうじゃなくて、なんとなく雰囲気が〇〇歌劇団の男役みたいな感じ。)


 なんじゃそれ?

 そんなん目指してたことなんて一度もありませんけど。

 私だって男に声掛けられたこと何度もあるし、B-HUNTERのアルバイトじゃ毎度受付の時に男どもに絡まれるし、大学の飲み会で口説かれたことだって何度もあるし・・・


 (そゆとき、サヤチってどうすんの? )


 しつこい男はぶっ飛ばすに限るよね。


 (カッコイイ。)


 参ったわ~

 私の目指す理想の人生像が崩壊の一途を辿っているらしい。

 既に普通で平凡な人生ってのは、どこか遠くに飛んで行っちゃった気がするけど、理想の女性像ってやつも風前の灯。

 既に同性の親友の顔を赤らめてしまうほど、男前になりつつあるっぽい。


 なんてこった!


 これも全て、あのワンコのせい!


 そのシデンだが、秋田から帰って来て以降は次の案件が来るまでノンビリするとかで、私なんか放っぽって毎日食っちゃ寝とブラブラを繰り返していた。

 まったく呑気なもんである。

 今日のお墓参りだって誘ったのに、自衛隊の習志野駐屯地にお呼ばれしたとか言ってお出掛けしちゃった。

 どうせ、お供え(肉)目当てで、チヤホヤされに行ったんだろう。

 3年前、異世界の門を閉じた後に武蔵御岳山で1週間ほど缶詰になった時、自衛隊の皆さんと随分仲良くなってたもんな~ ワンコのくせにお神酒まで飲んでたし、あれ以来味しめたんだろうね。


 「まあ、どうでも良いんだけどさ~ 大人しく抱っこされろよ! 」

 

 私は助手席で油断してた親友を素早く抱き上げた。


 (キャッ! )


 おいおい!

 何、乙女な悲鳴を念で送ってくるんだよ!

 まったく、こっちも変な気持ちになっちゃうじゃないか!


 でも、そんなことよりも、何気に抱き上げた親友に対する率直な感想が漏れた。


 「やっぱ軽いなぁ。」


 (そ、そかな? )


 「ちゃんと、いっぱい食べてんの? 」


 (食べてるよぉ。)


 私の腕の中で赤くなりながら首を傾げている親友。

 高校1年の時から私の最も身近にいた一番の仲良し、小早川菜月こばやかわ なつき


 3年前の江戸川区荒川河川敷で起きた“国内最初の大規模獣害事件”の際に被災し、心身に大きな傷を負った彼女は、今も重い後遺症を引きずっていた。

 シデンに施された救命処置で命は取り留めたけど、今でも当時の恐ろしい体験がフラッシュバックすることがあるらしく、悪夢から完全に覚めることができずにいる。

 そのことが原因になっているのだと思われるが、彼女はあれ以来口を利くことができない。

 言葉を失ってしまったのだ。


 小さな声で片言を発することぐらいならばできるが、普通に会話することは肉親が相手でもでもできずにいる。

 だから、現状でナツキと普通に会話をする術を持っているのは私だけだった。

 シデンの応急処置を受けた際に体内に流れ込んできた魔力のせいで、テレパシー的な能力を授かったナツキは、言葉を発することはできなくてもテレパシーの送受信能力を持つ私を相手にするならば、念を送って会話ができる。

 今も、互いに言葉を通わせていられるのは、こうした事情があるからなのである。

 だが、テレパシーの発信には途轍もないエネルギーを必要とする。

 二言三言を交わすだけで、フルマラソンを走りきるぐらいのエネルギーを消耗すると聞いた。

 私の場合、シデンの眷属だし普通の人間じゃないし、スカスカになったとはいえまだまだ十分な魔力を蓄えてる魔力結石からの補充もできてるから問題ないんだけど、ナツキは普通の人間だから、そんなわけにはいかない。

 会話するだけでヘトヘトになるはず。


 それなのに、ナツキはテレパシー能力を使うのを止めなかった。


 その気持ちは分かる。

 だって、口が利けないから人と意思の疎通ができないってのは、とても辛いことだと思う。

 そんな状況で、唯一会話する術がテレパシーなら、無理してでも使いたくなるのは当たり前。

 相手は私やシデンだけなんだけど、それだけでも孤独からは逃れられるから。

 でも、普通の人であるナツキにとって無理なものは無理だったみたい。

 本来ならナツキの身体は既に正常に戻っていて、身体的には何処にも異常は無いはずなんだけど、激減した体力だけがどうしても元に戻らないってお医者さんが頭を抱えていた。

 歩くのもままならないし、日常生活の殆どを安静にして過ごさなければならない。


 その原因は明らかなんだよね。

 ナツキが、私との意思の疎通でテレパシー能力を使いまくるからなんだ。


 もちろん、最初はやめなさいって何度も言った。

 私だけじゃなくて、シデンも言った。

 でも、ナツキは止めないんだよ。

 テレパシー能力のおかげで、直感が鋭くなった彼女は、ちょっとした予知能力も備えていたので、私が危機に陥ったりしたら直ぐにわかるらしいんだ。

 だから、そういう時は迷わずに念を送ってくる。

 その結果、激しく消耗して意識不明になっちゃったなんてこともある。

 その都度、私は余計なお世話だって叱るんだけど、ナツキは絶対に止めようとしなかった。

 これにはシデンも呆れてた。

 

 『どうせ止めろって言っても止めないんだろ? だったら、テレパシー使っても命を繋ぎ止められる方法を身に着けろ! 』


 そんな風にシデンに言われて、ナツキが見つけた方法ってのが、自分の身体を動かすエネルギーの大半をテレパシー能力に振り分けるという荒っぽい方法。

 テレパシー能力を使うために日常生活を犠牲にしちゃったんだよね。

 それを聞いて、私は呆れたし、すごく怒ったし、泣いちゃったよ。

 でも、ナツキが真剣な目で、


 (サヤチと一緒にいさせて。)


 って念を送ってきた時、それ以上は拒めなかった。

 心配して、労わることだけが友情じゃないのかな? って考えちゃった。

 このことについて、今も納得してるわけじゃないけど、ナツキの気持ちは大切にしたいから、私ができる限りはサポートしながら、彼女を見守っていくことにしたのだ。


 もちろん、今だって、

 

 (もう! 電動なんだから、押さなくっても良いのに! )


 ナツキの文句は聞き流して、私は車椅子を押しながら駐車場を出てから、交通量の少ない秩父の町外れで長閑な田舎道をトロトロと歩いている。

 

 「良いから、ナツキはリラックスしてなよ。こういうのは力持ちの私に任せなさい! 」


 陽射しがキツイから、超虚弱体質のナツキは電動操作でも体力は消耗しそう。

 その点、私はどんなに暑くっても体力は有り余るほどあるし、たぶん熱中症になるようなこともない。

 私は自分が大切だと思う人は、何が何でも守るって決めているんだから、相手がモンスターじゃなくったって、夏の日差しからだって、親友を守るのさ。


 (ところで、お墓は遠いの? )


 「そうでもないよ。あと5分くらい。」


 お盆と12月の命日と春秋のお彼岸と、私は欠かさず秩父へお墓参りにやってくる。

 お参りするのは、私が高校2年までアルバイトしていたお弁当屋さん“あじさい”の店長一家のお墓。

 店長のご実家は秩父だったんだよね。

 ナツキを連れてくるのは初めてのことで、去年までは一人で来ていた。

 そういえば、一昨年だけ、シデンが一緒だったかな。


 (あれから3年も経つんだね。)


 「うん。」


 (私も、一度だけあったことあるけど、良い人たちだったよね。懐かしいなぁ。)


 「うん。」


 (・・・サヤチ? 大丈夫? )


 「ん? え? 大丈夫だよ。ちょっとボーっとしてた」


 優しかったオジサンやオバサン、仲良しだった一人息子の仁太くん。

 私が抱えていたトラブルの巻き添えで死なせてしまった人たち。

 あれから暫くの間、思い出す度に涙が溢れてきて、人前でも声を上げて泣いた。

 彼らを異世界との争いに巻き込んでしまったこと、何度も自分を責めた。

 3年経って、気持ちは随分落ち着いたが、想い出は消えずに胸の内に留まっている。

 母を失って天涯孤独の身の上になった私の心を支えてくれた、優しい一家を忘れることなどできるはずがなかった。

 そのせいか、私は時々“あじさい”の皆のことを思い出す度、心ここにあらずな放心状態になってしまう。


 (しょうがないよ。今もまだ忘れられないよね。)


 「うん。そうなんだよね。」


 (でもさ、皆との縁は今も続いてるんでしょ? 大事にしてるんだもんね。)


 「そうなんだよ。今日はね。ナツキを紹介するつもりなんだよ。」


 (ちょっと待って! 紹介って、なんかお嫁さんを連れてくみたい。)


 「まーた赤くなってるぞ~ ナツキって私にマジ惚れしてる? 私は別に構わないんだけど~ 」


 (やめて~ 暑いんだから抱き着かないでぇ~ )


 冗談言い合いながら、じゃれながら、蝉時雨が鳴り響く猛暑の田舎道を歩いているうちに、目指す墓地があるお寺の屋根が見えてきた。


 (あ、あの人たちでしょ? )


 ナツキに言われてお寺の門前に目をやると、高齢のご夫婦が立っている姿が見えた。

 間もなく二人も私たちを見つけたようで、ご主人が大きく手を振った。


 「ちょっと急ごうか。」


 (そだね。)


 私たちの到着を待っていたご夫婦。

 “あじさい”の店長のご両親である。

 あの忌まわしく悲惨な事件の後、秩父のご実家で行われた葬儀の席で初めて出会い、その際に様々な思い出話を交わしているうちに、私たちは親しくなった。

 生前の店長が、うちの店には優秀なアルバイトがいるとか、将来は仁太の嫁になんてお馬鹿な話を帰省した折、ご両親相手にしていたようで、そのおかげで初対面にも関わらず、他人のような気がしないと、随分親しく接してくれた。


 実は、この時、“あじさい”の一家が何故殺されたのか、全てではないがご両親は警察の関係者から知らされていたらしい。

 息子夫婦の死が、私の巻き添えであったことも大まかには承知していたという。

 にも拘らず、ご両親は私を責めるようなことは一切無かった。

 それどころか、


 「あなたのせいじゃありません。」


 「あなたが無事でよかった。」


 「息子夫婦も喜んでいます。」


 などと、却って慰められたりもした。

 そんな優しい言葉を聞かされて、思わず感極まって泣き出してしまった私を二人が尚も優しく労わってくれたのを今でも憶えている。


 その後、私は春のお彼岸、新盆、1周忌と秩父に足を運ぶ度、ご両親へ挨拶に伺っていたが、初めのうちは、


 「遠いのに、いつもすみません。」


 などと、恐縮したように言っていたご夫婦が、いつの間にか私の訪問を心待ちにしてくれるようになっていた。

 年に数回、亡くした息子夫婦や孫の想い出話ができる相手が訪れてくれるのが嬉しかったのだと思う。

 ご馳走を用意してくれ、遠いところから来ているのだから泊っていくようにと勧められたりもした。


 「こんな、熱心にお参りしてくれたらタケシ(店長の名前)も喜んでくれるわ。」


 おそらく、子どもと孫を同時に亡くした寂しさを癒したいという気持ちもあったのだと思うが、私が訪れる度、ご両親は毎回たいへん喜んでくれて、いつの間にか私たちは互いの連絡先を交換し、頻繁に連絡を取り合う間柄になっていた。


 「息子夫婦と孫を亡くした代わりに、娘ができたような気がするねぇ。」


 そんな風にしみじみと言われたこともある。

 ご両親がとても良い人で、その雰囲気が“あじさい”の店長夫婦と、そっくりだったということもあるが、そんな風に言われると、ついつい甘えたくなってしまう。

 今回も、お盆のお墓参りに友だちと一緒に伺うことを話したら、必ず一泊してくれるようにと言われたが、それだけでなく、


 「一緒に来るのはカレシか? 」


 などと聞かれ、そうじゃないと言ったらホッとされた。

 まるで実家に帰省する娘のような気分を味わえて、ちょっと嬉しかった。



 それにしても、天涯孤独な身の上であるはずの私。



 母を失った時、一人ぼっちになってしまったと思っていたのに、ふと気づいたら幾つものご縁というか新たな絆が生まれていた。

 シデンとの出会いを切っ掛けにして、普通に生活していたら接点など生まれるはずの無い公安の刑事さんとも出会った。

 自衛隊の皆さんとも、随分親しくなった。

 ナツキとの関係も、それまでとは全く異なる新たな関係へと発展している。


 「守らなきゃならない大切な人、増えたなぁ~ 」


 日本中、いや世界中かな、モンスターのおかげで、まだまだ大変なんだけど、私は私のできる範囲で大切な人たちの命を、彼らの日常生活を守らなければならない。


 それって、すごく重たい十字架を背負う決心をしたような気がしていたけど、よくよく考えてみたら私の素直な願いなんだよね。


 相棒のシデン、親友のナツキ、汐見さんも、一緒に戦ってくれたり、理解してくれる人がいるし、なんとかやっていけるでしょう。


 それができる力を私は持ってるし、これからも頑張れると思うし、頑張らなきゃね。

 


 「紗耶香ちゃん、暑い中よく来てくれたね~ 」


 「お寺さんに頼んでスイカ冷やしてもらってるから、一緒に食べましょ! 」


 「おお、お友だちはエライべっぴんさんじゃないか~ 」


 「ささ、外は暑いから中に入った入った! 」

  


 いつものように、優しさいっぱいの笑顔で迎えてくれたご両親に挨拶をしながら、私はナツキの乗った車椅子を押しながらお寺の門をくぐった。

 この3年間で、何度もくぐった門であり、既に心に馴染んだ風景だった。

 

 去年と違うのは、蝉時雨の音量がいつもより大きかったことぐらいかな。






 ― 完 ―

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