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戦士の休憩なんだよ~ エネルギー充填中!

 以下は、お食事中の私とシデンの会話。

 もちろん、誰にも聴こえてないんだけどね。


 「結局、相良は逃がしちゃったのかぁ。」


 『だが、行き先は分かってるから、別に焦るほどのことでもねぇさ。片腕失って戦意も減退してるだろうし、次に会ったら息の根止めてやる。』


 「そっか。やっぱ、そうすべきなんだよね。」


 『なんだ、お前? 未だ、先生だった頃のヤツを忘れられないのか? さんざん世話になったようだが、そういうのも全部ヤツらの作戦だったんだぞ。情けを掛ける相手じゃないんだぞ。』


 「違くて、そうじゃなくて・・・ 」


 『そうじゃなくて? 』


 「今日、ここで洲崎を殺したんだよね。最低な人殺しのクズ野郎だけどさ、一応、あいつもクラスメイトだったわけじゃない。」


 『まあな。』


 「それを殺したわけよ。汐見さんから預かった拳銃でね、まずは腹に一発。そしたら洲崎が痛いって喚き出して、命乞いを始めたわけよ。でも、躊躇は一切しなかったなぁ。止めで顔面を吹き飛ばしちゃった。」


 『それで良いんじゃないか。お前が洲崎を殺したおかげで、この後に洲崎に殺される人がいなくなったんだからな。お前は、やるべきことをやったってことで良いんだ。』


 「うーん、私が考えちゃってるのは、そこじゃないんだよね。」


 『なんだよ? じれったいな。ハッキリ思ってること言えよ! 』


 「洲崎を殺しても何ともないの。心は穏やか。いくら相手が悪人でも、命を奪ったら後悔とかするもんだと思うわけ。普通なら、なんていうかこの反動みたいなモノがあるんじゃないの? こんな冷静でいられないもんでしょ? 」


 『達成感とか、仇を討った充実感とかは? 』


 「無いことも無いけど、そんなでもない。嬉しくもないし、悲しくもないよ。」


 『そんなん別に問題無いだろ。平常心なら良いことじゃないか。』


 「うーん、シデンはそう言うけどねぇ。人一人殺して、平常心でいられるってのはどうなの? って感じで・・・ 」


 『分かったぞ。お前は相良をぶっ殺したとしても、たぶん洲崎と同じく平常心でいられるだろうって分かってて、そういう殺人がへっちゃらになった自分に違和感を感じてるってヤツだな。』


 「いやぁ、なかなか私が口にし辛くて遠回りしてたことをスバッと言ってくれるよね。ホント、なんなのコイツって感じ! 」


 『そういうジグジグしてるの嫌いなんだよな。ズバッと言って、スパッと割り切るって生き方のが小気味よくて良いぞ。』


 「人間は~ そんなワンコみたいに単純じゃないんです~ それとぉ~ 膿じゃないんだからジグジグじゃないでしょ。グジグジ、もしくはウジウジじゃないのかなぁ~ 」


 『てめっ、やんのかコラ! 』


 「自称神さまのくせに公衆の面前で弱いモノいぢめすんのか? 」


 『自称じゃねぇんだって、お前見たろ? みんなが揃って、マカミさまぁ~ マカミさまぁ~ って敬ってただろうさ! 少しはオレの偉さが分かったか! 』


 「ああ、やっぱ、おにぎりの具はウメだよねぇ。あれ、なんか奥歯にご飯粒挟まっちゃった。糸楊枝欲しいなぁ~ 」


 『こんの小娘ぇ! 東京湾の水底で頭冷やしたいらしいなぁ! 』


 「弱いモノいぢめ反対! 私、可哀そう! 」


 『オレのがよっぽど可哀そうだわ! 一回、キッチリと躾けた方が良さそうだな! 』


 「ちょっと! 尻尾振るな! 暴れると埃立つ! ご飯に掛かるから! 」


 まったくもう、せっかくの美味しいおにぎりなんだから、味わいながらゆっくり食べさせて欲しい。

 ブツブツ言いながらコンビニ袋から取り出した次のおにぎりの具は牛肉のしぐれ煮。


 (おお! これも大好き! )


 救急隊員の女性の方、おにぎりの買い方に工夫があって素敵だ。

 スタンダードからイロモノまで、様々な具を混ぜてくれてるから、普段の自分じゃ絶対に手を出さないようなオモシロ具材も混じってて、とっても楽しく食べていられる。

 同じ具ばかりじゃ飽きるだろうという大人の気遣いですよね。


 「ん? 」


 その救急隊員の女性だが、実は私の目の前にいらっしゃる。

 瓦礫の撤去が進んだとのことで、救急車が入れるようになったため、他の救急隊員も2人やってきて、私の回復ぶりを見て喜んでくれている・・・よね?

 

 「すみません、マカミ様。もう神月さんに救急車の必要は無さそうなんで、我々は失礼させていただきます。マカミ様のおかげで、汐見捜査官の傷も殆ど回復しているようですが、未だ気を失ったままなので、至急病院に搬送したいと思いますので・・・ 」


 3人揃ってシデンに恭しく接しているのは良いんだけど、なんか私をチラチラ見て呆然としてるのが、ちょっと嫌。


 「それと、あの、神月さん。そんなに食べて身体は、お腹は大丈夫なの? 」


 そういう視線なのね。

 分かってたけど。


 「大丈夫です。いろいろ事情がありまして、頑張った分は直ぐに食べなきゃ気を失っちゃう体質なんです。」


 ニッコリ笑いながら、25個目のコンビニおにぎりの封を切った。

 さっきまで、ストレッチャーの上で指一本動かせずに、口をパクパクさせていた私が、ゼリー飲料を5本流し込まれたら、いきなりムックリと起き上がって、おにぎりを立て続けに25個である。

 驚異の視線を向けられるのもやむを得ない。

 どうせ、大食い女子高生ってことはシデンにバラされてしまったので、今更隠したって意味が無い。

 もう、思いっきり肯定してやる! って感じで開き直っていた。


 (んと? なんか、それだけじゃないっぽい? )


 おにぎりを齧りながら、頭の天辺に「?」が浮かんだ。


 「あの神月さん。マカミ様とは随分フランクな接し方をされているようですが、流石に相手は神さまですし、お怒りになられたら日本は大変なことになってしまうのですよ。ですので、なんとか一つ穏やかにお願いします。」


 「はぁ? 」


 なんじゃそりゃ?

 そんなこと言い残してから揃って去っていく救急隊員たちを見送りながら、釈然としない思いが残されていた。

 

 『言っとくが、オレは脅したりしちゃいないからな。皆が勝手にビビってるだけだから。』


 と、シデンがボソッと呟いた。

 なるほど、そういうことなわけだ。


 「あんたが脅さなくたって、どうせ日本を海に沈めるだけのパワーがあるとかなんとか、そんなこと自慢気に言ってんでしょ。そしたら普通ビビるわ。恭しくもなるわ。」


 そんなんじゃ、神さまを敬って拝んでるんじゃなくって、


 「“お山の魔神さま” が暴れないように、オラたちが鎮めなきゃ~! 」


 って感じでしょ。

 神さまと魔神さまじゃ、方向性が全然違うでしょう。


 「笑っちゃう。」


 『フン! 言ってろ。一応、お前は “お山の魔神さまの眷属” なんだからな。ビビられないように気ぃ使って、品良く接しろよ。』


 その眷属って響きがイマイチ納得いかないんだけど。

 ペットと飼い主の立場が逆転してるみたいでウザイ。


 『ところで、まだ食い終わんないのか? そろそろ相良を追う段取りに入るぞ。一旦帰って支度するぞ。』


 やはり、そうなるわけだ。

 相良を追って、その息の根を止めて野望を阻む。

 そのために、私はシデンと一緒に戦わなければならない。


 「自衛隊は一緒に行くの? 」


 『ついてったとしても、交通整理ぐらいにしかならんな。今、相良がいるのは、お前に取っちゃ懐かしの武蔵御嶽山だが、その周囲には強烈な結界が張られているに決まってる。生身の人間が突破できる結界じゃない。ドローンでも入りこめないだろうよ。』


 と、言うことは、相良を退治に行くのは、シデンと私の2人きりということだろうか?


 「まあ、良いけどさ。こうなったら、思いっきり暴れてやるわよ。」


 それにしても、懐かしの武蔵御嶽山ねぇ。

 そう言えば、異世界に繋がるワームホールがあるって、シデンが言ったたっけ。


 「でもねぇ、2人じゃ戦力不足ってない? 大丈夫かなぁ。」


 『大丈夫に決まってるさ。オレに任せろ! 』


 シデンは強気で良いけど、私はアップグレードした相良みたいなヤツが他にも出てきたら、絶対に無理ゲーですよ?

 と、シデンに言い掛けた時、


 『 大丈夫だって。私も一緒に行くからねっ! 』


 「へっ?」


 いきなり、頭に響いたこの声!

 またもやナツキである。

 今日1日で何度も頭の中で聞かされたこの声を、もう聞き間違えたりしない。


 (これって何なの? どうしてナツキの声が聴こえんの?)

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