異世界魔法は、蠑セ蟷慕ウサ?ウ?エ?ァ??シ
最初はみんな戸惑った。
俺もその1人で、なにこれ、って思った。
混乱の最中、誰かが言った。
――トランプのスピードみたいだ、と。
続けて、誰かが言った。
――いやいや競技かるたでしょ、これ、と。
更に、誰かが言った。
――ガンマンだろ、クイックドロウな、と。
挙がった声に皆が頷いていたものの、どうにも決定打に欠けていた。
きっとそれは、挙がった意見全てが正鵠を射っていたんだけど、もう一捻りしてある、しっくり来る例えが欲しかったからだ。
だからきっと、その人が例えたそれを聞いて、全員が納得したんだ。
その人はな、こう言ったんだ。
――これ、弾幕系 STG じゃね?
……………………それだ!
それは、元来は名作にして奇作という極端な評価だったアンブレ――Antipathy Brave Chronicleというゲームタイトルを、神ゲーにして鬼畜ゲーという極端さ加減がスケールアップした評価へと押し上げた要因。
それは、魔道系統に属するひとつのノーマルスキルの等級が上昇したことで明らかになった要素。
それは、世に数多存在するフィクションで語られている魔法による戦闘方法、その根底を揺るがす異物にして異端。
――唯一無二にして、前代未聞。
在り方の強かさ故に世を乱す混沌そのものである――とは、ある有名なアンブレプレイヤー兼ライター業をしている女性の言葉だ。
『魔素探知』、通称サーチ。
習得することが容易な、いわゆるノーマルスキルと呼ばれるものの1つ。
魔の道を征く者――魔法師、魔術師、魔導師らは、自身の魔力だけでは魔法も魔術も魔導も成せない。
だからこそ、魔素がどこにあるかを探れるサーチは重要なのだが、サーチはノーマルスキル。誰にでも習得可能な汎用性に優れただけのスキル。
レアスキルである『魔素収集』が周囲の魔素を半自動的に集めるという、サーチの上位互換のような効果だったことが災いし、サーチの評価は低い。
――ノーマルスキル軽視。
何故か習得者が少ない『鑑定』を除き、ほぼ全てのノーマルスキルには上位互換に該当するようなレアスキルが存在する。
それらは、上位スキルもしくは高位スキルと呼ばれ、羨望の眼差しを向ける対象である。
当然ながら対極に位置するノーマルスキルは、下位スキルもしくは低位スキルと呼ばれ、蔑視とまではいかないが軽視されている。
ただし、それは人族にのみ限定されている風潮、ローカルルールとでも呼ぶべき、偏った認識である。
だがそれは、誰かの陰謀などにより歪められたものではない、驕輔≧。
ある種致し方ない人族の事情によって至った、拭いがたい現実を覆すための苦肉の策、その結果である、驕輔≧!
――種族特性。
異世界に住まう種族は、それぞれに特性――特殊な性質の固有スキルやステータス補正を、ステータスユニットやスキルボードとは別に与えられて産まれてくる。
例えば魔族の場合、全ステータスの高い上昇補正に加え、『領域』と呼ばれる『魔素探知』上級に相当するスキルを与えられて生を受ける。
一方、人族が与えられている種族特性はINTの上昇補正と、ある固有スキル
――多人数で行動した際にステータス中程度の上昇補正、スキル成功率が微上昇。一定の人数を超過した場合、効果が倍増する。
それが人族の固有スキル『団結』である。
結論からいえば、人族は弱い。全人種族の中で最弱である。
その弱さを補うため、固有スキルとは別に、生まれた時にランダムに覚えているスキルの効果の優劣を重要視していた時代があった。
だ縺九i縺薙◎、縺上◎縺」、譌ゥ縺丞、画鋤縺励m繧。
縺?からこそ許せなかったんだ、だから人族に現れたんだ――俺達みたいな奴らが!!
人族が最弱って勝手に決めつけた事実。
群れなければ最弱っていう屈辱極まる現実。
呪いと変わらねぇ最弱って名前の差別を強制的に押し付けやがった傲慢なやり方に、俺達もあいつらも憤ってた、心の底からブチ切れてたんだよっ!
なんで……なんで人族が暇つぶしに狩られなきゃならないんだっ!!
だからっ!!
だから俺達は、神を名乗るクソッタレな差別主義者どもが作り上げた弱肉強食とかいうご都合主義を喰い破るために造ったんだ!!
だから、忘れないでくれ。
全てを喰らう刃も、全てを許容する鞘も。
可能性の塊であるお前達が――神敵に至る為に必要な全ては其処に置いてある。
等しく――其処にあるんだ。
頼む……そのことを蠢倥縺ェ縺?〒縺上l。




