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生きる意味ってなんだろう?

作者: 海溝

「生きてるってなんだろ?」



リビングでやっていたRPGのエンディングを見ながら、そう考える。

ゲームのエンディングの達成感を感じると、同時に自分はなぜ生きているんだろうか? と疑問に思うことがある。

別に意味ねえじゃんと一蹴してもいいのだが、それでも頭が動いてしまったので、考え込んでしまう。


心臓が動いている事? であれば脳死という状態は死んでいるのか? 俺は違うと思う。

であれば脳が働いて思考ができる事? 何か腑に落ちない。


辞書で意味を引いてみよう。命を保つ、生活する、暮らす…………違うんだよなぁ。強いて言うなら生きてる意味……理由、そんなところか。


いや実際何よ。特に将来の夢とか何かをしたいとかないし、ただただ宿題こなしてゲームしてるだけなんだよなぁ。


バイトでもしてみるか? 高校生だし。そしたら何か見えるかなぁ?



「お兄ちゃん、何一人でうんうん唸ってるの? キ……変だよ?」



と、妹の沙耶(さや)が俺の横に座って聞いてくる。今キモいって言いかけなかった? この子。



「いや、生きるってどう言う事かと言う哲学的な事をな」


「ふーん…………ねえお兄ちゃん、明日暇?」



興味ないんですね分かります。そうだよなぁ。どうでもいいよなぁ。

で、明日? 帰宅部陰キャの俺に日曜日の予定があると思ったか。と言ったら、知ってるけど一応ねって言われた。ちょっと悲しい。


「何しに行くんだ?」

「買い物」

「荷物持ちね。了解」


男は大人しく力仕事しとけってことかよ。

まあ、どうせゲームも終わったし多分1日ゴロゴロしてるだけだから問題ないか。





翌朝



「お兄ちゃん、そろそろ行こう?」


「はいはい。で、どこ行くんだ?」


「ん? ショッピングモール」



いやどこのだよ。ここから同じくらいの距離に二ヶ所あるでしょうが。

ていうか遠い。車出して貰わね?



「まあまあ、歩いて行こ」



ええ……? せめて自転車じゃないの? 暑いししんどいじゃん。まだ初夏とは言え結構気温高いぞ。まあ歩きたいなら付き合うけどさぁ。



「ちょっと待ってろ」



一応諸々の準備を済ましておいて、沙耶には帽子をかぶらせる。倒れられたら嫌だからな。



「ありがと」

「おう、行くぞ」



30分ぐらい歩かないといけないが、まあその程度なら我慢できるだろ。


歩いている間、俺は基本的に沙耶の他愛もない話に相槌を打ったり、俺のくっだらない話をしたりした。



「着いたー!」


「あ゛ー、いぎがえるー」



外あっついよ。ちゃんとスポーツドリンク用意しといてよかったぁ。熱中症で倒れるわ。



「さあ、これからが本番だよ」


「クーラーを得た俺は最強だ。ドンと来い!」



と、意気込んだはいいものの……



「長い怠い足痛い」


「軟弱だなぁ」


「悪かったな軟弱で。でもかれこれ30分近く選んでるぞ」



沙耶の目的は服屋だった。夏服の新しいのが欲しいらしい。で、俺にも選べと言われたので選んだのだが…………ダサいと言われた。なんでだよ可愛いじゃんこのちょっとブサイクな猫のTシャツ。ブサカワも分からんとは……。


で、その後は完全にファッションショー。沙耶が選んだ服を俺が評価すると言うものだ。適当に似合う似合うとか言ってると怒られるのだが、ファッションセンス皆無の俺にそんなこと言われましても…………。

まあ四苦八苦しつつ感想を言っていく。意外と思った事を口にすると機嫌が良くなるので、途中からは結構楽になった。


で、数着買うことになったのだが、たかられかけた。そんなに金持ってねえよ! ていうかなんで服で万も行くんだよ!



「はぁ、ケチ」


「買えるかあんな高いの。ていうかどうせ後で父さんから服代もらうんだろ? じゃあいいじゃねえか」


「まあねー。あ、映画! 映画行こ!」


「映画? 映画ねえ。時間的に微妙じゃね?」



今11時過ぎだろ? 映画って2時間ちょっとだから昼飯が遅くなる。それにポップコーンやらなんやらで腹も微妙な感じになるじゃねえか。



「日曜日くらいいいじゃん。ほら行こ」


「はいはい。何観る?」


「うーん、何がいい?」


「スプラッタ」


「やだ! 嫌がらせでしょ!」


「冗談冗談。まあ無難にアニメ映画でいいだろ。続編系じゃないやつ」



こいつはホラーとかスプラッタとかそういうジャンルが苦手だ。1年前に友達とお化け屋敷に入ったらしいんだが、危うく漏らしかけたらしい。


まあそれを分かってのおちょくりだ。流石に本気でみようとは思ってない。なので真面目に考える。


丁度いい時間に少し興味があった映画があったので、それを提案してみる。確か沙耶も興味あったはずだ。



「いいね! 観よう!」


「テンション高いなぁ」


「お兄ちゃんも、楽しまなきゃ人生損だよ!」



人生ねえ、まだ生きるってどういうことかの答えも出てないのに損もクソもねえよなぁ。





「神作だった…………」


「感動したよ…………」



映画、すごく良かった。人気の理由がよく分かったよ。あんなにフェチを押し付けながらも視聴者を引き摺り込むような演出。

そして登場人物の人間関係と立場設定の巧妙さ。それを持ってしてさらに引き込まれるストーリー。もはや神作と言っていい領域だった。



「パンフ買うか」


「お、私も読む」



ワンコイン(+税)で売っているパンフレットを買い、映画館のソファーで沙耶と二人読み込む。


へえ、ここってこういう意味があったのか……。パンフレットって観てる時に気付けなかった事を教えてくれるよなぁ。で、それを確認するためにもう一回観たくなる。巧妙な罠だ。



「ふぅ、ご飯いこっか」


「あんまり腹減ってねえなぁ」


「軽いものがいいよね……ドーナツとか?」


「お、いいね。奢るぞ」


「やった! 太っ腹ー」



まあ昼飯ぐらいは奢るさ。映画は結構値段するから高校生の財布事情じゃ奢れないしな。




「ねえ、この後どうしよっか」



ドーナツを席で食べながら、午後の相談をする。



「帰るんじゃねえの? 用事終わったんだろ?」


「ダメだよ。今日は目一杯遊ぶんだから」



ええー、もう帰ろうぜ…………。



「どこ行きたい?」


「お前行きたいところあるだろ?」


「ふふふ、あるよ」



だろうな。今日の買い物は普通に一人で行くつもりだったんだろう。わざわざ俺を連れてきたってことは、どうせ何か奢らせようって魂胆だ。生意気な妹なのでねだれば払ってもらえると思ってる。まあ可能な範囲なら奢るがな。



「うーん、お、あれ欲しい!」


「自分でチャレンジしろよ」


「取って!」


「俺一応UFOキャッチャー出禁なんだが?」



自分で言うのもなんだが、俺はUFOキャッチャーが上手い。で、天狗になって色々取りすぎた結果出禁を喰らった。あの時は文句たらたらだったが、まあ確かに赤字になるレベルで取られたらそりゃあ店側も焦るわなと今は納得している。



「一個ぐらいならいいじゃん!」


「ちょっと待ってろ。確認してくる」



えーっと、店員店員。



「すいません」


「はい? どうされました?」


「ここの店長か、古株の人に『暴れ小僧』が来たって伝えてもらえません?」


「はぁ」



2分ぐらいで知ってる顔の人が来た。



「お久しぶりですね」


「一応出禁のはずですが」


「妹と来たんですけど、一つだけ取って大丈夫です?」


「あの時ぐらい取らなければ」


「あれ結局置き場所に困ったから返したじゃないですか」


「困るくらいなら取らないで……」


「プレイそのものが楽しいんですよね」



と、許可は貰った。実際出禁なんだバレないにしても一応許可はいるだろう。



「無駄に真面目……」


「無駄じゃないぞ。こう言う事をしてたら出禁も緩和されていくかもしれないだろ」


「店員の前でそれを言いますか……」


「と言う事でお願いしますね。で? どれが欲しいって?」


「これ!」


「またむずいのを……」



さっき観た映画のマスコットキャラのぬいぐるみ。しかもUFOキャッチャー限定のやつじゃねえかよ……。しかも微妙にでかい。



「100円」


「ほい」



この辺で……こうでタグに引っ掛けて…………はいゲット。



「二つ目以降はご遠慮ください。こちら袋になります」



とる事を分かっていたから先に準備されていた。ありがたく受け取り、袋にぬいぐるみを入れて沙耶に渡す。



「分かってますよ。ほら」


「ありがと! じゃあ次行こう!」


「UFOキャッチャー以外な」


「分かってるわかってる!」



その後はメダルゲーで沙耶が大勝利をして大敗北をした俺にマウントを取ったり、そのメダルの処理に迷った結果遊んでいた子供に分けたり、STG(シューティングゲーム)で二人で無双したりレースゲーで足を引っ張りあったり……かなり楽しい時間を過ごした。


ただ、時間というのは楽しければ楽しいほど早く進むもので、気付けばもう17時を過ぎていた。



「さ、帰るか」


「そだね。……ねえお兄ちゃん」


「何?」


「今日、楽しかった?」



と、にっこりと笑って聞いてくる。それを聞いて今日のことを思い出して……俺も笑って答えた。



「もちろんだ。楽しかったよ」


「これが生きるってことだよ」


「え?」


「何気ない日常をおくって、何気ない事を楽しいと思って、たとえ辛いことがあっても、それでも楽しんだり悲しんだりして。そう言う事を感じれる事を生きてるって言うんだと思うよ。そんな大層な理由とか意味とか考えずにさ、どんなに辛くても、悲しくても、それでも楽しいって思えたらいいんだよ。それが一番大切なんだよ」


「沙耶……」



そうか……そうだな。こうやって楽しいって感じられる事そのものが大事なんだな。意味とかそんなくだらない事を考えてるより、何をしたいか、何をしたら楽しいかって言うのをちょっと考えて、それをやってみて楽しかったり楽しくなかったりして、それでまた次の楽しみを見つける。

それがきっと生きるって事なんだな。



「ありがとな」



まさかこんな兄の戯言をここまで真剣に答えてくれるとは思わなかった。



「にしし、まあ、私としてはお兄ちゃんが奢ってくれたりしたからラッキーって感じだけどね」


「台無しだよ。まったく」


「痛!」



そう言って沙耶の頭を軽く叩いた後にぐりぐりと撫でてやる。


でもまあ、こうやってくだらない事をしている時間っていうのが、何より大切なんだろうな。


そうやって、時間ってのは過ぎていくんだから。

まあ気分的にパーッと書いた感じです。なので変な所は多かったでしょうけど、読んでくれてありがとうございました。

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