表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

宝箱

作者: 武田道子
掲載日:2020/06/27

宝箱




本当は人がとりもどせるものは

・・・・何もない

悲しい悲しい悲しいある日も

嬉しい嬉しい嬉しいある日も

鈍色の心に流した涙は一筋の塩っからい跡を残して蒸発した



思い、感覚、嘆きや怒りでさえ

とりもどすことはできない

あなたが「好きだよ」と言ったときの温もりのある声や温かな眼差し

記憶は古い昔の写真のように色あせていく



なぜ、なぜ、なぜと問うても

答えは出てきはしない

言葉は煙のようにふっと口の先から消えていく

ほんの少し誰かの耳の奥にこだまして

すーっと流れ星の引く尾のように消えていく

とりもどしたいものは時間の大河に呑み見込まれる



とりもどしたいものは宝箱の中

まだ生まれない以前の場所

悲しい悲しい日はなかったし

嬉しい嬉しい日もなかった

涙を流す理由もなかった

私が宝箱だったから


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ