どこかの場所にて 8
スキルに手を加える事が出来ると知って、早速やってみた♪
─って、オレに出来る訳ないよねー。。。。
実際にスキルを弄れるのは、この白い球体なので、お願いするしか道は無い。…コイツ何でも出来るよな。
…しかしその工程は、予想通りに難航した。
真面なテキストも無しに、複雑に構築されたチャート読み解く気分だった……。
~・~・~・~ 暫くお待ち下さい ~・~・~・~
白い球体の訴える内容を正確に聞き取り理解するまでに、今までの人生の中でも、最高の根気と辛抱強さを見せただろう。
時には衝動的破壊願望に取り憑かれたり、再度の脳天直撃インストールを受けそうになったり、「もうずっとココに居たらいいんじゃね?」と思考放棄したりと、数々の苦難を乗り越え、漸くその全貌が明らかになった。
──白い球体が出来るその内容とは?
スキルそのものの能力(本来の威力・効果や発動条件等)は大幅に変える事は出来ないが、一部能力(威力・効果や発動条件等の一部)に制限を加える事で、部分的に強化や範囲を拡げたり等が可能になる…と言うものだ。
…ホントにコイツ、何でも出来るよな。
…話を戻そう。
これはスキルや魔術等が魔力の作用(消費や流動・定着等)によって引き起こされる現象と捉えた場合、個々のスキルに作用する魔力の総量はそのままに、その作用の中での比率を変えると言う事らしい。
例えば、消費と流動を減らして定着分を少し上げると言う具合だ。
厳密には、他にも色々な作用(変質等)があったり、比率そのものを大きく変えると、違うスキルとして発動したりと…そう単純なものではない様だが。。。。
物理法則も完全に解明されたとは言えない中で、さらに訳の解らない法則に踊らされる……。
すでにオレの理解力の限界を、とうの昔に越えてしまっている。完全に銀河の彼方だ。
それにいくら理屈は解ったとしても、スキルを弄れるのは、ココでは白い球体だけだ。
意地になって詳しく聞いたオレも、どうかしていた。
「じゃあ早速、従魔術でアンデッドを使役出来る様に変えてくれ」
『…、……』(訳:そのままじゃ無理)
「(そうだった。) …範囲を狭めてスケルトンだけ …いや、骨身のヤツ …そうだ!"スケルトン系"を使役出来る様にはならないか?」
『…!……。。』
「えっと …え?何?」
~・~・~・~ Please wait ~・~・~・~
[従魔術]の改造そのものは、一部を除いて要望通りに出来る様だ。
取り敢えずスケルトン系(そんな区分は無い)をも使役出来る[従魔術・改]ではあるが、人型に限られてしまった。獣・鳥型のスケルトンや、夢のドラゴン型スケルトンは使役出来ない。。。。
一方、制限されたものは、その発動時の効果範囲である。
─なんと、相手に直接触れないと発動しないっ!驚きのゼロ距離!!
しかもスケルトン系の場合は、体内(?)の魔核に触れないと発動しないっ!!!!!
…ちなみに普通の[従魔術]は、一定の距離まで近づく必要こそあるものの、触れなくても大丈夫。
それに大前提として、[従魔術]はそもそも成功確率は高くない。まぁ それに関しては、魔力が続く限り繰り返し発動すればいい訳なんだけど、[従魔術・改]はゼロ距離発動なので、ほぼ確実に反撃を受けるでしょうね。
つまり死ねと。
…恐ろしい程に、使い勝手が悪くなってしまった。
普通の[従魔術]の方が、絶対マシ!
よし。[従魔術・改]は、無かった事にしよう♪
振り出しに戻ってしまったけれど、貴重な知識を得られたと言う事で、この件は終了!
さぁ~て、やっぱりゴブリン狙いか、それとも[耕作]を身に付けて、農夫で地道に行こうか~ …
─ ピカッッッ!! ─ 「あぁっ、目がぁぁ~~!?」
白い球体が目の前に突然回り込んでくると、直視出来ない程の光を発するっ!!
強烈な目眩ましで怯んだものの、脳天直撃インストールを警戒して見えないまま当てずっぽうにダッシュ!回りに何も存在しないこの空間じゃないと、とても出来ないだろう。
「人が油断してる所に …卑怯だぞっ!!」
見えないのでどれだけ距離を取ったのか解らないけど、取り敢えず文句だけは言っておく。
────
ゆっくりと視力が戻ってくるまで、特に何かされる様な事は無かった。どうやら脳天直撃インストールの追撃は逃れた様だ。
しかし…いったい何で急に光り出したんだ?
兎に角、一発殴ってやろうと戻ってみると…
白い球体が、文字通り浮き上がっていた。
まぁ、位置が少し高くなってるだけなんだが。何だか笑われている気分だ。
─ ぁぁ、ムカつきが止まらない。
「おいっ!やっぱりお前は酷いヤツだったんだな? 騙し討ちみたいな事しやがって…」
『…!!……。……♪』
「ちょっ!また何かするつもりかっ!?」
『!!。……、』
「ぁあ?何言ってるのか…」
『……。…♪♪』
「こっちが喋ってるんだから、黙って…」
『…、…♪!』
~・~・~・~ (以下略) ~・~・~・~
「だからスキルが、どうしたってんだよっっ!!」
不毛な言い合いは続く…