どこかの場所にて 6
アイテムで一発逆転を狙う!
いくら体が貧弱でも、人類は道具で生き残って来たのだ!!
このアイテムで足りない能力を補えば、きっと何とかなるっ!!!
白い球体に熱い眼差しを向けていると、楽しそうに光りだす。
『…、……♪…?』
…うん。具体的な情報が、まったく伝わってこない。。。。
何故か眩しいくらいに光りだした白い球体に、存在しないバットを大きく振りかぶりたくなる。
『…? ……♪』
「いやいや…全然イメージ出来てないんだよ。例えば写真付きのリストとか、他にもっと分かり易い手段があったら良かったんだけど。」
ここで白い球体の機嫌を損ねて、アイテムが無しになるのも勿体無いので、ムカついた表情は出来るだけ表に出さない様にしなければ。
しかし、抽象的なイメージやニュアンスだけでは、今まで以上に伝わって来ない。
─ 数は相当ありそうなニュアンスなだけに、非常に惜しい。。。。
そうしていると、白い球体の一部からドデカいアルバムの様な物体がニョキっと生えると、そのまま足元へと滑り落ちた。
─ なんか、出てきた!?!?
……。
結論から言うと、それは膨大な商品カタログだった。
ぶ厚い表紙を捲ると1ページ毎にアイテムの写真(?)が載っており、そのページに触れると情報が頭の中に思い浮かぶ。
名前や用途、性能やら効能やら…理屈はさっぱりだが、そのアイテムの大きさや重さ等も解ってしまう。
─ こんなのが有るんだったら、脳天直撃インストールしなくても色々な情報を教えられる事が出来たんじゃあ …?
言い知れぬ苛立ちを抑えつつ、カタログをパラパラと捲り、その内容を確認する。
数は多いが、その大半が食糧や薬、それと服等の衣料品・生活雑貨っぽい物が殆どだ。
流石に元の世界のような品は多く無いが、ファンタジー感溢れるアレンジや代替品がそれを補っている。医療品の中には、病気や怪我、ファンタジー世界の状態異常である"石化"なんかを癒す物があった。
── やっぱり、石化があるんだ……。
頭の中の情報を再認識して、改めてファンタジー世界の非常識さを痛感する。
多少の不安を感じつつ流し読みしていると漸く、武具が載ってるページが目に入る。治癒回復系の掲載エリアが終わった様だ。
─これは、趣味の世界だなぁ。。。。
実物を触接見てる訳じゃないけど、こうやってそれぞれの武器のページの情報を確かめていると、本物に触っている様な気分で面白い。
オレの力じゃ持ち上げれるかも怪しい巨大な斧や、使いこなせるヤツなんか居るの?って感じの、蛇腹状の鞭なのか剣なのか不明な武器。
支援の効果や弱い魔術が掛かった盾や鎧、様々なアクセサリー等、謎や呪いやネタな品々にテンションが上がっていく。
白銀のハリセンって、もはや倒す気がないだろ。それになんでコ○ドームがあるんだよ。いや、避妊は大事だとは思うけどさ…精力増強効果付きって、ド直球過ぎるだろっ!
…そうしてカタログショッピングを楽しんでいると、ふと気になる物が目に止まった。
──"魔核の欠片"─
"魔核"とは魔物が魔物たる証で、"魔核のある存在=魔物"である。
生きている(既に死んでいるアンデッドも居るが)魔物の魔核を切り離すか破壊すれば、その魔物は死んで(アンデッドの場合は滅ぶって表現に)活動を停止してしまう。
ちなみに切り離したり、死んだ魔物から取れたモノは"魔核"では無く"魔石"になっている。
元は同じモノでも、生きて活動している魔物の"魔核"と死んでいる"魔石"では性質やら強度やら色々なものが違っている…らしい。ともかく"魔核"単体では、"魔核"として存在しえ無いのだ。
─ では、この"魔核の欠片"って何だろう?
カタログの情報だと〈魔物にスキルを付与する〉となっている。
スキルを魔物に直接付与する為には、魔石じゃあ都合が悪いのだろうか?あっちの"世界"だと、普通に魔物も含めて食物連鎖が成り立ってる様だし、魔石を食べてしまう事もあるだろう。もしも魔石を食べてスキル獲得なんて事になったら、その生態系が滅茶苦茶になってるしな…。
魔石ではスキルは身に付かないと。そう言う事になってるのかな?
だが逆に言うとこの"魔核の欠片"の様に、生きた魔物の魔核を何らかの方法で取り込む事が出来れば、その魔物のスキルを確実に身に付ける事が出来るって事になるよね?
それなら丸飲みする魔物がスキルを得ているだろうし…いや、すぐに吸収してる訳じゃないか。消化されてるうちに死んでしまってるだろうしな。
生きたままの魔物の魔核を噛じっても、魔物から切り離された時点で魔石になってしまうし。どうやったって魔核のまま取り込む事は出来ないだろう……。
存在自体が矛盾してるアイテムだな…"魔核の欠片"…
でもこうしてカタログに載ってる以上、何か魔核のままの状態を保存する術や方法があるって事なんだろうか?
─ もしそれが出来たら、強い魔物に育てられないだろうか?
どうでもいい事が気になる主人公。
勉強が捗らず、他の事に集中してしまう症状に似てますね。




