どこかの場所にて 4
「はぁ~ 、もういいや」
ココに来てから、溜息が止まらないよ。。。。
考えてみれば、今までも色々な事に妥協してきたし、諦めもしてきた。
そして極めつけは、自分ではどうする事も出来ないこの状況…
─ もう、自棄だ ─
「とりあえず先に進めよう」
ココでの唯一の話し相手に向かって、ゆっくり歩き出す。
この白い球体のもう一つの役割は、オレという存在をあっちの"世界"に合わせる為に形成・調整する事だ。
…考えたら、ますます不安になってくるんですけど。
『…♪…、…♪』
こっちは最悪の気分なのに、アッチはご機嫌だな。
─ 殴りてぇ …
『…!!……、』
空気を読んだのか、真面目なニュアンスを醸し出すサンドバッ…じゃなかった、白い球体。
人の不幸が大好物なタイプか?
さて …。さっきの脳天直撃インストールで、ここでする事、その概要は頭に入っている。
─ これから行く"どこかの世界" ─
それは、魔法が物理法則と並んで存在する世界。
基本的にマンガやアニメに出てくるファンタジーまんまの様な感じだろうか?
事細かい情報がインストールされて無いのが、不安なトコロだが…その為にまたアレは受けたく無い。
取り敢えず、有名RPGの世界を思い浮かべてみる。
─ 正直、自分がそこで暮らしている"絵"が浮かばないよ。。。。。
魔法なんて存在しない世界の住人が、自在に魔法を使いこなすとは思えない…さらに、剣や槍を持って戦うなんて、絶対無理ムリむり!!!
かと言って、魔物とかが蔓延る"世界"で、普通に商売していけるだろうか?
…と言うか、文化も風俗も違う場所で商売なんて、並大抵の苦労じゃないよ。。。。
なにより一番の問題が、人間が支配する世界では無いと言う事だ。
どこかにずっと閉じ籠る事も難しい。まぁ… 引き籠っててもネットに繋がってる訳じゃないから、暇を持て余しそうだけど。
ファンタジーの世界で引きニート…ある意味貴重な存在だろう…。居るとは思えないが。
「どうしたらいいと思う? …って言うか、何かいい感じでアッチでやっていける様に出来ない?」
白い球体なコイツに頼るのは何か釈然としないけど、使えるモノは何でも使わないとな。
『♪……、♪…』
「ふむふむ…従魔術師、 …[従魔術]か」
あっちの"世界"では"魔力"というモノが存在し、物理法則とはまた違った法則… "魔法"が法則の一つとして成り立っている。そして、その法則によって様々な現象が引き起こされる。
その法則を体系化し利用する方法も当然、存在している。
マンガやゲームで言うトコロの"魔術"や"スキル"と言われるものだ。そしてそれらが、当たり前のモノとして存在している。
概念とも言ってもいいこれらには、それぞれに呼び名がある。…誰が名付けたのか知らないけど。
そう言った能力の一つに、[従魔術]と言う"基本スキル"がある。
魔物を従えるから[従魔術]。そのまんまだ。
とは言え、何でも手下扱いに出来る訳では無く、やはり制約がある
例えば、自分より強い相手は使役出来ない。当然と言えば当然だ。
似た様に、意思が強固な相手も使役出来ない。ただこの辺りは曖昧な所があり、己の意思で従う場合もあるんだとか。─ それって、[従魔術]関係無くない?
また、アンデッドやゴーレム等の非生物も使役出来ない。これは替わりに他の"魔術"や"スキル"の範疇になる。[死霊術]や[錬金術]、[傀儡]等がそうだ。
以上の様な例外があるものの、それ以外は手下扱いでコキ使える素敵"スキル"だ…
さらに[従魔術]を使いこなして行くと従魔術師と言われる"役職"が身に付く。
この"役職"には大元となる"基本スキル"の他に、関連する"派生スキル"や一部には"魔術"を身に付ける様なものまである。従魔術師の場合は、従魔の強化に関わる"派生スキル"が少しづつ身に付いていく。忠誠心が上がったり、従魔自身が"スキル"を身に付けたりと色々だ。
─ と、この辺りが苦痛と引き換えにして頭の中に入っている情報と概要だ。
手に職を付けるとは言うが、この妙にシステマチックな所に疑問を投げ掛けざるを得ない。
これが魔法のある"世界"と元居た世界の違いなのだろうか?
……それはさて置き。白い球体が薦めてきた[従魔術]には、罠がある。
この[従魔術]、その大元である使役能力は使用者によって重大な問題を抱ているのだ。
「……そもそもオレより弱い魔物とか居るの?」
ようやくキャラメイクまで来ました~。
ちなみに、従魔術は"魔術"ではありません。"従魔・術"なので、基本スキル扱いと言う、謎設定です。
スキルや魔術の詳しい説明は、また後ほど。
取り敢えず"基本スキル"や"派生スキル"なんかは、時々面倒なので纏めて"スキル"って呼んでるだけです。
現実的に考えて、普段から一々細かく呼んでいる描写に疑問を持ったもので。