どこかの廃墟にて 10
「あ痛たた…… 」
頭を打ち涙目になったオレに、2号が呆れた様子で手を差し伸ばす。
座った椅子ごと倒れている姿を見て、色々察したのだろう。
『カタカタッ?』
「ありがと。……いやいやいや、この箱の中にゴーストが居たんだよ。」
『カタッ?』
コレに?って顔して、木箱の蓋を鉈で持ち上げる2号。
『ギャアアァァァー!!』
またまた日光に当たって、絶叫するゴースト。
中身の確認が終わったのか、2号は黙って蓋を戻した。件のゴーストは、弱っているのか先程より若干声が小さくなった気がする。
……。
「コレ、どうしよう?」
『カタタッ?』(訳:従魔にするのでは?)
「オレの従魔術は、アンデッドでもスケルトン系にしか従魔に出来ないんだ。それとも…2号はコレを飼い慣らせるのか?」
『カタッ』(訳:無理)
「なら、オレだって無理だ。そうすると倒すしかないんだが…。今の所、箱から出られないみたいだし、ホントどうしようか?」
そんなやり取りをしていると1号と3号が、走ってやって来る。あの絶叫が聞こえたのだろう。倒れた椅子に座り直す頃には、他の新入り達の姿も見えだした。
「大丈夫、何とも無いよ。 ゴースト入りのビックリ箱に驚いただけだ。」
『カタッ?』
「あぁ怪我もしてない。あ、蓋を開けるな!これ以上やると、ゴーストがホントに成仏してしまう!」
何気に箱を開けようとした1号を慌てて止めて、後から来る新入り達の到着を待つ。
~・~・~・~
「みんな揃ったな~。その箱の中にゴーストが閉じ込められています。どうしたらいいと思う?」
それぞれに腕を組んだり頭を捻ってみたりと、考え始める従魔達。真っ先に手を挙げたのは1号だった。
『カタカタッ』(訳:従魔にすれば?)
「2号にも言ったけど、それは無理だ。触れないから発動しないとかって意味じゃ無く、そもそもゴーストは従魔に出来ないからな。」
『カタカタカタッ?』
スカル・メイジが不思議そうに理由を訪ねる。
「あぁ、新入り達には説明してなかったか。オレの[従魔術・改]はアンデッドでもスケルトン系にしか効かないんだよ。オマケに、魔核に直接触らないと発動すらしないしな。」
『カタッ?』
自分の胸を見下ろすスカル・メイジ
「……やっぱり倒すしか無いか?」
『カタカタッ!』
2号がやるだけやってみよう!……と、繰り返す。1号も頷いている。
だが、3号は黙ったままだ。
「3号はどう思う?」
『カタッ?』
えっ?私?って…… この流れは普通聞くでしょ?
『カタカタッ』
面倒だから、倒せばいい……とか、やっぱり考えて無かったな3号。
でも確かに面倒。[物理攻撃無効]持ちだから触れないしな~。ホント、鉈が属性武器で良かったよ。まぁその前に、箱から出してしまえば、それだけでダメージになる状況だけど。
『カタッカタッ』
やろうよ~って、駄々っ子か!お前は。
~・~・~・~
結局、駄目で元々のつもりで従魔にしようとしてみるも、やはり駄目だった。
直射日光が当たらぬ様にと倉庫の中でやってみたのだが、ゴーストの体力が先に尽きてしまったのだ。ある意味、[従魔術・改]の性能を再確認しただけで終わったな。
3号がお湯を沸かしてくれたので、それを飲みつつ潰れてしまった携帯食を齧る。
倉庫前では所々で骨の小山が出来始めて、少しスッキリした。後は、あの骨をどこに持って行くかだが……
「骨を捨てる所って、どこか心当たりある?」
『カタカタッ』
館前に撒いたら……か。まぁあそこは近いし、既に骨だらけだから丁度いいのかな?
この分ならまだまだ掛かりそうだし、後にしよう。
3号と名無しは、その館から色々運び出してる真っ最中だ。使えそうな物だけじゃ無く、見るからにガラクタとか廃材まで持ち出し始めて、収集が付かなくなってきた気がする。。。。
何に使うのかサッパリだし、彼らの好きにさせておこうか。
「オレは何をしようかな?」
『カタカタッ?』(訳:あのアイテムはあげないの?)
「忘れてたっ!」
~・~・~・~
「……と言う訳で、コレをお前に渡します。」
『カタカタッ?』
作業を何度も中断したせいか、若干ご機嫌斜めなスカル・メイジに、アイテムを渡す。
・常闇のペンダント
・魔核の欠片
─ 〈風魔術・二重詠唱付与型〉
─ 〈殴打耐性・俊敏付与型〉
「後は……2号、短杖を渡してあげて。」
・梅怨の短杖
『カタタッ??』
ペンダントは兎も角、欠片と短杖が珍しかったのか色々な角度で見たり、振り回してみたりと急に忙しくなったスカル・メイジ。
「最後に、お前の名前は4号になったから。」
『カタッ』
別に気にした風も無く、短杖を撫でたりするのに忙しいスカル・メイジ改め4号。
『カタタッ!?!』
傍らに居る2号が、なぜ動揺しているのか不思議でならないが。
兎も角、これで強化の為のアイテムは全て使いきった訳だ。残ってるのは、宝珠とオレの為の食料と医薬品だけだ。如何にこれらを使わずに済ませるかが、課題でもあるな。
先ずは食料からなのだが、この辺りでどんな食べ物が手に入るのだろうか?
「聞くけど、集落がこうなる前はどうやって食料を得ていたんだ?」
4号:『カタッ』
知らないって…コイツも生前を覚えてないのだろうか?
2号:『カタカタッ』
畑で取ったり、森で猟か…案外、普通だな。
「森で取れる食べ物って、果物とかか?」
『カタカタカタッ』
果物よりも獣だったり、魔物だったり色々かぁ…
「って、魔物を食べるの!?」
『カタッ?』
~・~・~・~
2号曰く、魔物の中には文字通り美味しく頂ける種類が居るらしい。ホーンラビットとか。
ただ普通に獣等も居るので、もっぱらそちらをメインに狩りを行っていたそうだ。
ちなみに、以前の畑等は長い時間の中で、すっかり荒らされ森に飲み込まれてほぼ絶望状態だ。もしかしたら、芋なんかはあるかも知れないが…との事だが、ゆっくり探すしかなさそうだ。
「……と言う訳で、狩りを行ってみたいと思います。」
─パチパチパチ─
1号と2号が嬉しそうに拍手をしている。
ある程度骨も片付き、館から色々運び出した段階で従魔達を集めて作戦会議だ。
既に周りは日が陰り、もうすぐ夜。アンデッドは暗闇でも見えるので、日中よりも成功率が上がるかも知れない。
最初の狩りは本人達の立っての希望で、1・2号コンビが向かう事になった。
3号と名無しその1は雨避けと竈の製作で忙しいし、4号と名無しその2はオレの護衛である。
勿論、オレはこれから寝るつもりだ。夜の森の中なんて何にも見えないし、足手纏いになるに決まっているからな!
「成果を期待してるぞ。」
『カタカタッ!』




