どこかの場所にて 2
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── 小一時間 周りを観察したり、アレコレ考えてみても何も状況に変化が無く、だんだん面倒臭くなってきた。
こうなったら覚悟を決めて、白い球体をもう一回調べてみるしか無さそうだ。
… …… ……… ……………
近付くにつれ、心なしか点滅する感覚が短くなってる気がする…
いや、気のせいじゃなく点滅速度がどんどん早くなってきた。
あと数メートルの所で殆ど光りっぱなしになって、激しい自己主張をする白い球体。
今度こそ何か起こるのかと身構えていると、不意に誰かに呼ばれた様な気がした。
『…!…!!』
声無き声が聞こえてくる… どこからとかじゃ無く、直接頭の中に訴えかけてくる"声"…
「何ナニなに??」
ハッキリとした言葉とかでは無く、イメージと言うかニュアンス的なものが頭に浮かんでは消えて、正直、気持ち悪っっ!?
乗り物酔いに似た症状と混乱の最中、向こうに浮かぶ白い球体の光り方が微妙に同調している事に漸く気付いて、この"声"が白い球体が発している可能性に思い至る。
未知との遭遇に対して取るべき行動は、基本はアレだ。まず挨拶だ。
社会に出て、最初に取れる処世術だ。
「え~っと、こんにちは?」
我ながら、物に向かって何を言っているのかと呆れつつ、でも白い球体からの意思の様な"声"を感じていたのも確かだ。
挨拶をして怒られるのは、狂人か不審者に間違われた時だけだ。
『……。』
うん。言葉では無いけれど、挨拶を返された感じがする。同時に、ご機嫌斜めなニュアンスも、余す事無く伝わってくる。
─ 感情があるのかよ。 いや、マジでコレって何??
『…。……!…』
『!!…。……、』
だんだん何を訴えているのか、分かってきたぞ。
…どうやらコッチに来い。と言ってるみたいだ。
って、何かの罠にしか思えないんだけど? どこからどう見ても、怪しさしかないんだけど?
どうしてそんなに不機嫌なの?
実はお腹が空いていて、不用意に近付いたら美味しく食べられるって事に、なったりはしないよね?
『……。…、………。…』
一定の距離を保ったまま疑いの眼差しを向けていた為か、それとも今まで放置された事を根に持ってか、拗ねたニュアンスを込めつつ"声"を送る白い球体。
「えっ? 今なんて言った??」
『………。…。…、…。』
相変わらず不明瞭ではあるが、オレの事を"何処か"に送り出したい。いつまでもここのままじゃ困る。
…そんなニュアンスだかイメージを送ってくる。…拗ねた感じのままで。。。。
状況に理解がまったく追い付いていない中、それでも意志疎通出来る(?)存在は無下にしない方がいいだろうと判断するくらいは何となく頭は回ってきた。
「何か悪い事をしたのなら、謝ります。すいませんでした。 ただ、全然知らない場所にいきなり居るもんだから…それにこんな喋り方?なんて、見た事も聞いた事も無かったから、全然余裕がなかったんだよ。とりあえず、何か危害を加えてきたりとか攻撃してくるとかは…無いですよね?」
『…!……、…。』
どうやら向こうには、その気が無いらしい。半信半疑なままだが、直接伝わってくるイメージに嘘は無いように感じる。
「とりあえず色々聞きたいんだけど、まずココはどこなのか教えてもらってもいいでしょうか?」
『……、…。』
「ゴメン。それじゃよく解んない」
『…、……、……。…』
「ん~…。とりあえず、元々居たトコロに戻してくれないかな?」
『…?…、…。』
「えっ?」
『…?…、…。』
「ん~。…戻れ無いって、どう言う事? もうちょっと上手く伝えられない?」
────────
悪戦苦闘しながら、彼?(彼女?)の話を纏めると、やはり今居るココは、自分の知っている所では無いらしい。
じゃあドコかと言うと、よく解らない。言葉としてでは無く、理解がそもそも出来ないトコロって云うか、俗に言う"異次元空間"とか"別の世界"のイメージなのだと思う…多分。
あまりそう言うオカルトとかSFとか詳しく無いんだけどな…
もし自分の見てる夢だとしたら、随分と回りくどいなぁ。
そして肝心の戻れない理由は、さっぱりわからないままだった。。。。。