どこかの場所にて ~どこか別の視点にて~
読み飛ばして頂いてもいいお話です。
すぐに本編も投稿致します。
「 ──ぁぁぁぁぁあああああああ!!!!」
その大きな叫び声は、しかし、山彦する事無く消えてゆく。
ここには遮るものも無く、それ故に響くことも無い。
いや、境界が無いのだ。向かう先にも何も無い、ただただ空間が連続しているだけだ。
色を失い虚無に満たされたこの場所に、新な訪問者がやって来た。
本当に何もないこの場所に、存在するものが追加された…ただそれだけだ。
─ 暫く見れば一頻り声をあげ終え、糸が切れる様に地に伏したに見ゆる。
全ての気を吐いた故か。
何処の風かは知らぬが、彼の地には意味を持たぬ。此のまま千々と散るのみよ…。
~・~・~・~
─ 観測する術を持たぬ者は、いつも此だ。
己の立場を弁えぬ。
現世の姿に蒙昧としておる。
此の地が何処だと?ではお前は、何処に居ったと言ふのだ?
既に抜去る筈の風が、僅か残っておる様だ。
─ 知恵を授ければ、この狼狽えぶり。最早、呆れる他無い。
理の欠片でこの有り様では、先が思い遣られやう。
未だ卵のまま果てるのか、やれやれ…
我に責を求むるなぞ、心得違いも甚だしいわ。
─ 我が言霊の意を解する気配が無ぬ。如何したものか?
思案に更けるや、其の考えも無し。
彼の地よりの書を、授けてみる。
眼映る物しか授受せぬのか。厄介な…
叉も、書の催促…
先の知は如何した?我が徒労に也や?
黙考の兼、響き調べもせぬ様子
新な風も無く、唯々諾々と過去る刻惜しや
─ 未だ理を持って、望む気配無し。
まるで我が試されておるようだ…
否。成就せぬには責を能わぬ。
叉も思案に更けっておる。
何を悩む。我が道を示したであろう?
─ 我が真心が、禍を招いた様子。哀れな。
思い悩むは、共に狂態を現すのみだ。
詔をより多く授けよと?
過ぎ足るは、器を割る事と解らぬか…
宝具まで貪欲に求むるとは…情けにも限りが在るぞ。
此の者、何を考えておる也?
常世の風を受入れぬは、如何に…
─最早、此れ迄。実る先は何処か?
完全に蛇足なのですが、まぁ有ってもいいのかなと。




