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どこかの廃屋にて 1

ようやく、チュートリアルとキャラメイクが終わった主人公。

準備万端整えたところで、不測の事態が発生。

その後の運命や如何に!

──ドサドサッ! ドンガラガッシャーン!!!


「ぁ痛たた…た?」


一瞬の浮遊感の後、地面に投げ出されのか後頭部を強打した。

痛みに両手を頭に回し(さす)ってた所で、汚れた角材や土やら苔やらの塊が追加の一撃。

…TVとかのドッキリで、落とし穴に落ちた時の光景が浮かんだ…落とされた方の視点で。



「…ぺっぺっ。ぶっ。 …っか、口の中まで入って」


あっという間に泥だらけになった所で、この異常事態に気が付いた。


周りは草だらけの壁だ…あちこち穴が空いて向こう側が見えている。

見上げると天井は今にも崩れ落ちそうで… ってか、これが崩れてきたんだな。

近くの地面には、オレが厳選したアイテムやら武器やらが散乱している。

緑が溢れ過ぎるこの家は、放置されてから、かなりの時が経っているのだろう…。

ここはその家の土間だ。玄関口かも知れない。リビングじゃないだろう…だってドアだった所から、そのまま外が見えている訳だし。


すでに我が身に起こった事が、何なのかは解っている。


あの白い球体(ど阿呆)が、またやらかしやがったのだ!



────


"どこかの世界"に行くにあたって、その中の"どこ"に行くかは慎重に検討する筈だった。

その場所はどんな所で、どんな魔物が居て、食べ物が取れたり水が確保できたり出来るか。

そんな情報を元に場所を幾つかピックアップして、その中から決めるつもりだったのだ。

だが白い球体(学習能力ゼロ)は何を思ったのか、オレの「準備が出来た~」発言から、そのまま送り出したに違いない!


…迂闊だった。後先考えないヤツの行動は読めない。だから最悪の状況に備えて、言動にもっと注意を払うべきだったのだ。

…それでも未然に防ぐ事が出来ないと言うツッコミは、無しで方向で。


一発でも殴っておくんだったと後悔しつつ、体についた泥やら苔やら木片やらを払い、立ち上がる。



─ 恐る恐る外の様子を伺ってみる。

草木に溢れた風景の中に、この家の様に朽ちた建物が隣り合って建っているのが見える。何かしらの気配はしない。


─ ゆっくり外へ出てみる。

抜ける様な青空の下、濃い緑が周囲を覆っていて不気味な程、静かだ…。この緑の暴力に惨敗した痕跡が、あちらこちらに残されているのが見てとれる。背にしている廃屋は、まだ原型を留めていた方だったようだ。

視界に限りがあるので全貌は解らないが、小道を挟んで密集する建物だったモノ達がここが集落であった事を弱々しく主張していた。

…それにしても音がしない。これだけの豊かな自然が広がる中、鳥の鳴き声さえもしない。

時々、風に振られて木々から葉擦れの音が大きく合唱をするだけだ。

ずっと白しか色がなかった場所から、原色が支配する場所へとやってきた。その圧倒的な存在感と、目の前にある敗者の(みじ)めな姿に、不安と恐れがゆっくりと肩を叩く。



─ これは… ヤバい!! ─


今からが本番なのだ。準備不足とか関係無く、状況はノンストップどころか全力疾走で絶賛進行中だ!

アホみたいにココに立ってても、いつ襲われるか解らない。すぐさま廃屋に戻って、散乱しているアイテムを掻き集める。


「ぁ痛っ!!」


焦って"獄卒の鉈"を手に取ってしまい、反射的にイナバウアー!

その反動で壁に肘鉄を食らわし、また上から色々降ってくる。

…見事な二次災害だ。ついうっかりで、手と肘を痛めた上にまた泥だらけ。


「少し持っただけでこんなに痛いのか…。 これで切られたら、タダじゃ済まないな」


痛みのせいか生命力を奪われた結果か解らないが、持った左手がジンジンして少し力が入らない感じだ。

でも、いつまでも痛がってる訳にもいかない。


「タダの袋に戻ったのか… 」


短杖が突き出し歪に膨れ上がって、今にも破れそうな収納袋を持ち上げてみる。

ハイポーションの瓶や回復セットの小箱の幾つかが顔を覗かせている。

"元"収納袋はリュックくらいの大きさで、この"世界"に来た直後にその効果が失われ、それで中身をぶちまけたのだろう。

どうせなら、コッチでもそのまま使えればいいのに…。


袋の中を整理して散らばっていた携帯食と回復セット、治療薬・ハイポーションを入れ直す。

代わりに宝珠やペンダント・魔核の欠片は固めて脇に置いている。

直に触れない鉈と短杖もだ。数も数えた、全部揃ってる。一安心だ。

一息ついた所で、上を見上げる。

…ココを拠点にするには、天井が危な過ぎる。

壁にも穴が空いてるし、ドアもないから覗き放題で襲われ放題だ。もう少しちゃんとした場所を探そう。


いそいそとアイテム群を廃材の小山の裏に隠していると、完全に崩壊している隣の部屋?で物音が……


「ヒャッ!?」思わず変な声出ちゃった。


…ゆっくりと振り返ると …そこにはっ!







……。 特に何もないな。

慌てん坊な主人公。

外から見ると、随分と余裕があるようにも思えるのですが…

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