どこかの場所にて 10
── 従魔を従える ──
…それは、[従魔術]を納める者達の最初の試練である。
ある者は傷付き、そしてある者は倒れ、一握りの幸運を掴む者だけが使役出来る…高く厚い壁なのだ。
……そんなナレーションを頭の中で流しつつ、魔物図鑑を閲覧する。
解っていはいたけど、素人がどうこう出来る魔物なんか居ないよなぁ。。。。
只でさえ難易度が高いのだ。それも現地住人の助けが得られるかどうかも解らない。…最悪、一人ぼっちの可能性をも考慮せざるを得ない。
さらにさらに、[従魔術・改]を発動する為には直接触れなければならないのだ。
─ これが一番難易度を跳ね上げてるんだって!!どんだけ分厚い壁なんだよ。もう壁とかじゃなくて、ビルとか城の規模だろっ!!
心が折れまくって、複雑骨折してるわっ!!!!!
なにが悲しゅうて、猛獣しかおらん"ふれあい動物園"で人喰い熊にハグせにゃならんのよっ!
尽きる事の無い不満と愚痴に、エセ方言まで混ざりはじめたところで頭を振って正気に戻す。
もうここまで来たら、従魔を従えるしか道は無い。しかし、従えそうな従魔が居ない…。
もうゴブリンでいいか。奇跡的に単独行動してるところで、ばったり出くわしたらいいだけだし。
…半ば現実逃避しつつ、一つ一つ魔物の情報を再度確認していると、ある項目で引っ掛かった。
─ スケルトンが持つ[光属性脆弱(小)]
アンデッドでは多くの種族が持っているポピュラーなバットステータス系"固有スキル"である。
その効果は名前の通り光属性に弱くなる。
魔術の種類の一つ[光魔術]や、武器や体に光属性を載せる付与系のスキル、武器そのものに光属性が付与されている物もある。
それらの攻撃は強制クリティカル扱いで、大きなダメージを被るのだ。また、日光の下では身体能力が下がると言うオマケ付き。
これは[光属性脆弱(小)]の話で、これが(大)になると、属性攻撃でほぼ即死…アンデッドは滅ぶと言うか活動停止?
日光に当たれば身体能力がさらに下がって、継続的にダメージも受けてしまうと言う脆弱っぷり。
ちなみに[光属性脆弱(大)]持ちは、[物理攻撃無効]を合わせ持つゴーストだ。
その極端に尖った能力に、痺れないし憧れもしない。
…話を戻そう。
このスケルトンの生態や特徴は、アンデッドらしく生きている者に対してほぼ無条件に反応するが、武器を持っていない場合は素手や噛み付き等が主な攻撃手段だ。
大体アンデッド同士で固まって居る事が多いものの、別に群れている訳ではなくただ居るだけ。
アンデッドなので食べる事もなく、睡眠不要。疲れもしないし、恐怖や幻覚等の精神異常も掛からない。
血も肉も無いので、毒も麻痺も病気も関係なく、身体異常で唯一掛かるのは石化だけ。
目玉が無いが、そもそも光を感じてモノを見てる訳では無いので、真っ暗闇でも見える。
骨だけなので刺突攻撃が効きにくく、衝撃を吸収する肉や筋も無いので殴打されると脆い。
極端に力がある訳ではないし、動きもそんなに早くない。
状態異常等の搦め手には強いが、総合的に見ると弱い魔物なのだ。
そんな弱いスケルトンは、日中ではさらに身体能力が低下する。
これなら、ゴブリンなんかより楽そうだ。
アンデッドに[従魔術・改]を発動する為には、魔核に触らなきゃならないけど、人間で言う所の心臓の位置にある。お腹から手を突っ込んで肋骨をかわせばいけそうだろう。
よし。スケルトンに決定♪
次は従魔になった後の強化だ。
これにはまず"バットステータススキル"を補うモノを探さなくちゃね。
脆弱性を発揮しているのは、光属性と殴打。カタログの中で、対応しているのは…
・光属性対策として、"常闇のペンダント"〈装備者に光耐性追加〉
・殴打対策としては、"魔核の欠片"〈殴打耐性付与型〉
これらによって、[光属性脆弱(小)]は[光耐性(小)]へと、[殴打脆弱]は打ち消しあって脆弱も耐性も無くなる見込みだ。
お次は武器だな。
これはスケルトンを選んだ時点で、最初から決まっていた。
─ "獄卒の鉈" ─
形状は剣鉈と言われる形で、肉厚・やや大振りの鉈。"亡者の武具"と呼ばれる、呪われた武具の一つ。
〈闇属性〉・〈亡者の嫉妬(呪)〉─生者に触れている間その生命力を奪い続け、その奪った生命力を負のダメージとして与える─と言う属性と恐ろしい呪いがある。
この〈亡者の嫉妬(呪)〉により、特に命ある者に対して強力な効果を期待出来るだろう。
それに戦闘中に奪われる心配も少ない。
そもそもダメージを覚悟しなきゃ持てないモノを、誰が持とうと思うだろうか?(アンデッド除く)
…後、生命力を奪われるとどうなるのかは、よく解らない。寿命とかが、縮まるとか…?
これに、この鉈の単体の特徴〈耐久性(大)〉が加わる。
すごく頑丈、コレ大事。武器なんて使えば使う程消耗するものだ。
さらにさらに、鞘には微弱ながら修復能力がある!…その替わりに魔力が必要だけど。
ただ、鞘に納まっている刃の部分だけなのか、柄を含めて鉈全体になるのかはちょっと疑問だ。
まぁ、魔法のある"世界"だ。細かい事は、もう気にしてもしょうがないだろう。
よし。これでアイテム3品だ。
……。
…少ないな…?
従魔は複数従える予定だから…取り敢えず4体分で、12品。
……まだいけそう?
改めてカタログを見つめ直す。
鉈を持つんだし、せっかくだから[剣術]を持たせたら…。
ん? 鉈って、[剣術]で扱うのか??
そもそも[剣術]を付与する魔核とかアイテムは、見た覚えが無いな…?
「なぁ、剣術のスキルを付与するアイテムが無いんだけど?」
『…… …。… …?? …。』
「んん?」
『…… …!! ……、…、』
「… 無いって事?」
『 …、……?!… 。 …』
「え? …あるの?無いの? どっちなの??」
『…、 ……。?………』
「いやいやいや。あるって言う感じ出しながら、否定のニュアンスじゃ 解らないって。」
…………
~・~・~ 只今、お話が大変混雑しております ~・~・~
~・~・~ 次話まで、今暫くお待ち下さい ~・~・~
主人公は疲労困憊なのです。
ええ、そうです。いわゆるランナーズ・ハイに入っているのです。




