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稲妻くりえいと!  作者: 阿留比レオ
1/1

うっかりな入学式

うっかりしてたらこういうことにもなりかねないですよね。

俺の名前は秋山アキラ。今日はいよいよ高校の入学式。これからドキドキワクワクの高校生活が始まる・・・わけだったんだが・・・いきなりとんでもないことをやらかしてしまったらしい・・・俺は今日、稲妻西高校の入学式だったわけなんだが・・・


「えー、続きましては、この稲妻”東”高校に努める先生方の紹介です」


しまったァァァッ!!高校を間違えてしまったァァァッ!!!

まさかこんなことが起きるなんて・・・なんで制服ほとんど一緒なんだよ・・・朝寝坊して必死になってたから全然気付かなかった・・・しかもまさか同姓同名の人物がいるなんて・・・


そう、ギリギリに高校についた俺は直接入学式が行われている体育館に行ったのだが、入り口のところで先生に止められ、名前を告げたら難なく1年A組の”秋山アキラ”君の席に誘導されてしまったわけだ。不幸にも本当のアキラ君は今日学校に来ておらず、連絡も取れなかったらしい。そんな偶然が重なって、俺は今違う高校の入学式にいるというわけだ。


早くなんとかしないと・・・本当の高校の入学式に間に合わない・・・だがどうしたら・・・どうしたらバレることなく抜け出せる・・・?ここで手を挙げてトイレに行くふりをして逃げようにも一瞬でも目立ってしまうしとても恥ずかしい・・・いったいどうすれば・・・


そんなことを考えていたら入学式が終わってしまい、流れるように1年A組に誘導されてしまった。俺はどうすることもできず、秋山アキラの席に座った。


「なあ、本当にお前、秋山アキラか?」


話しかけてきたのは後ろの席に座っていた男子生徒だった。まさか別の高校の生徒ってばれたのか・・・?


「そ、そうだけど?」


「なーんだ、意外と普通の人じゃん、もっと怖い人かと思ってたよ~」


「・・・どうして?」


彼によると、既に一部の生徒の間では、入学式前日に秋山アキラという生徒が他校の生徒と喧嘩をして相手に怪我をさせた・・・というような噂が広まっていたらしく、ヤバい生徒が現れたと思われていたらしい。なるほど、そんなやつなら入学式に来ないのも頷ける。


「ちなみに俺は牛島ウシオだ。よろしく」


「あ、秋山アキラです、こちらこそ・・・」


「アキラはどこ中出身なの?」


「多分知らないと思う、県外だから」


そう、俺はこの春からこの地に引っ越してきたのである。だから西高校と東高校を間違えてしまったのだ。


「なら教えといてやるよ。あっちの西高校付近には近づかない方がいいぜ」


「・・・どうして?」


「なんか前々から仲悪いんだよ、制服もほぼ同じだし、偏差値とかもほぼ一緒、他にも色々あるんだけど・・・要するにキャラ被りみたいな?まあとにかく仲が悪いからさ、アイツらの中には東高校の人だと分かるといきなり殴ってくるやつとかいるらしいからね」


「・・・なら逆にだけど、この東高校にもし西高校の人が紛れ込んでいたら・・・?」


「あー、前に制服一緒だからってふざけて潜入した人がいるらしいんだけど、ボコボコにされたって」


イヤァァァッ!!!絶対にバレちゃだめじゃん!!!なんで仲が悪いの東高と西高ッ!!!あぁ・・・なんかお腹痛くなってきた・・・


「ごめんちょっとトイレ行ってくる」


「おう、もうすぐホームルーム的なのが始まるから急いだ方がいいぞ」


「わかった」


そう言って俺は教室の外に出た。これからどうしようかと考えながらトイレに向かおうと曲がり角を曲がったその時、向こうから曲がってきたであろう誰かとぶつかってしまった。


「キャッ!」


「あっ、すいません、大丈夫ですか?」


「あ、はい、ありがとうございます・・・」


なにやら様子がおかしい、怯えているのか?まあ、見知らぬ男とぶつかったわけだし仕方ないか・・・ん・・・?学生証が落ちてる・・・この子のかな・・・


「この学生証、あなたのですか?」


俺はそれを拾い上げて聞いてみた。そして拾い上げて気付いたのだが、どっかで見覚えのある学生証だった。


「西高の・・・学生証・・・?」


そう呟くと目の前の女の子の顔が青ざめていくのが分かった。


「ばれた・・・東高の人に・・・見つかった・・・ばらされる・・・皆にばらされる・・・ここで・・・殺さなきゃ・・・」


「あーっ!!ちょっと待って!!落ち着いて!!俺もだから!!俺も西高!!」


そう言って俺は西高の学生証を見せた。すると女の子は安心したような表情を見せた。


「もしかして君も高校を間違えたとか?」


「そうなんです!私、うっかりさんなんで!」


良かった・・・同じような人いるんだ・・・そう安心していたら、外が何やら騒がしくなっていることに気付いた。


「おい!いたか!?」


「こっちはいねえ!あの野郎どこに行きやがった!」


「絶対に見つけ出せよ!西高のやつらめ!絶対に捕まえてボコボコにしてやる!」


ばばばばばば、ばれてる!?なんで!?どうして!?


「どどどどどどど、どうしましょう!私、ボコボコにされたくないです!可愛い顔が台無しになっちゃう!」


「お、落ち着こう!とりあえず人気のいないところに隠れよう!」


「えーーーっ!?可愛い私を人気のないところに連れて行ってどうする気ですかーーーっ!?」


「何もしねえよ!てかそんなこと言ってる場合じゃねえだろ!逃げるぞ!」


そう言って俺たちはとりあえず人気のないところへと逃げた。


「・・・ここならばれないか・・・?」


「こんな人気のないところに連れてきて・・・いったい何をする気ですか・・・?」


「だから何もしねえって!」


「なんだ、何もしないのか、いくじなしめ」


「ッ!?誰だ!?」


物陰から現れたのは謎の女子生徒。しかも変な仮面を被っている。どうやら俺たちがここに来る前からいたらしい。ていうかなんで隠れていたんだ。


「そこの女子生徒、衛宮エミだな?」


「どうして私の名前を・・・もしかしてファン!?」


この女の子、衛宮エミっていうのか。しかしどうしてこの仮面の女はこの女の子の名前を知っているんだ?そもそもどうして仮面を被っているんだ?


「そこの男!」


「は、はいっ!」


「よくもうちの生徒に手を出そうとしてくれたな」


「いやだから出してないですって!!誤解です!!」


「黙れ!これだから東高の男はクソなのだ!」


そう言い放つと仮面の女は問答無用で殴ってきた。


「いってぇ!?」


「さあ衛宮さん、付いてきなさい」


「やだ・・・私、さらわれちゃう・・・」


まずい・・・このままでは衛宮さんが仮面の女に連れていかれて東高の人にボコボコにされてしまう・・・助けたいけどめっちゃ痛くて動けない・・・


「待て・・・その子をどうする気だ・・・」


「無論、西高に連れて帰る」


「西高に連れて帰る・・・?どういうことだ・・・?お前・・・東高の人間じゃないのか・・・?」


「違う!私を東高の人間と一緒にするな!この子の友達からエミちゃんが間違って東高に行ってしまったから救出して欲しいと頼まれて来ただけだ!」


「・・・じゃあ外で東高のやつらが騒いでる原因って・・・」


「私だな、しかしこの仮面の変装を見破るとは東高の人間もなかなかやるな」


「いや明らかに怪しいわ!仮面つけてるやつなんて目立つに決まってるだろ!」


「とにかくここでお前と話してる時間は無い、衛宮さん、行くぞ」


「待って下さい、あの人も西高の人なんです、あの人も一緒に助けてくれませんか?」


「なんだと?あの男は西高のお前を人気のないところに連れてきてあんなことやこんなことをしようとしたゲスではないのか?」


「だから違いますって!俺も高校を間違えちゃったんですよ!だから助けてください!」


「ふん、仕方ない、なら早く付いてこい」


「いきなり殴ったことに対する謝罪はないんですね・・・」


そうして俺たちは謎の仮面の女と一緒に脱出を開始した。しかしこの女、本当に大丈夫なのか・・・?


「いたぞ!あそこだ!」


「仮面をつけてるぞ!追え!」


「やっぱ目立ってるじゃないですか!その仮面外してくださいよ!」


「断る!敵に顔がばれたらどうする!?」


「捕まらないよりマシでしょ!あっ!あそこの物陰に隠れましょう!」


「私に指図するな!でもまあいい感じの物陰だから許す!」


そう言ってひとまず物陰に隠れたのだが・・・さてこれからどうするか・・・校門は近いのだが、その付近には勿論見張りの人がいる・・・誰かが囮になって注意を引き付けて、そのうちに逃げるという手もあるが・・・囮になった人が危険すぎる・・・


「おーーーい!あっちの方向にいたぞーーー!」


「よーし!追え!」


あれは・・・後ろの席の牛島君!?ばれていたのか?それにしても助かった!校門の見張りが手薄になった今のうちに脱出だ!


「行きましょう!今のうちに!」


「だから私に指図するな!言われなくても分かってる!」


そう言って俺たちは校門に向かって走り出した。


「ん、校門に誰かいるぞ!アイツは・・・扇原オウジ・・・!?」


「誰ですかそれ!一人くらいなら僕がなんとかします!そのまま行きましょう!」


「バカか!あれは東高四天王の一人、天狗の扇原だぞ!お前みたいな貧弱そうなやつに扇原の竜巻【トルネード】に勝てるわけがない!」


「なんですか四天王って!?つまりあいつは能力者【クリエイター】ってわけですね!とにかく任せてください!!・・・加速【ブースト】!」


俺は加速【ブースト】を使い、物凄いスピードで扇原に向かって走り出した。四天王かなんか知らないが、このスピードでアタックすればひとたまりもないだろう。


「ほう・・・あの男、能力者【クリエイター】か・・・だがこの天狗の扇原の敵ではない・・・竜巻【トルネード】!」


「あのバカ!あのスピードじゃ止まれんぞ!巻き込まれる!」


突如竜巻が目の前に現れ、物凄い風速で近づいてくる。おそらく避けることはできない。これに巻き込まれたらただではすまないだろう。だが、巻き込まれなければどうってことはない!


「消去【デリート】!」


俺は目の前の竜巻を消去し、扇原めがけて突っ込む。


「まさかあの男の子・・・二重能力者【ダブルクリエイター】・・・?」


「バカな!?俺様の竜巻【トルネード】を消しただと!?何かの間違いだ!!もう一度喰らえ!!竜巻【トルネード】!」


「遅い!・・・加速【ブースト】!からの・・・鉄拳【アイアンパンチ】!」


「ぐふっ!!!!」


さすがに物凄いスピードから繰り出される物凄いパンチを喰らったらひとたまりもなく、扇原は吹っ飛んでいった。


「今のうちに行きましょう!」


「え、ええ・・・ってだから私に指図するな!!」


そうしてようやく俺たちは稲妻東高校から脱出できた。やれやれ、とんでもない目にあったもんだ。それにしても牛島君には感謝しないといけないな。彼の手助けがなかったらこんなに早く脱出はできなかっただろう。それにしてもどうして彼は俺たちを助けたんだ?


「秋山君凄いんだね!加速【ブースト】に消去【デリート】に鉄拳【アイアンパンチ】!まさか三重能力者【トリプルクリエイター】だったなんて!私初めて見ちゃった!」


「そうか、君は秋山というのか。私も同感だ。君は素晴らしい能力者【クリエイター】だ。さっきまでの非礼は侘びよう」


「いえ、気にしないでください、そんなことよりも早く西高に戻りましょう」


空は快晴、風も心地よい。神がまるで俺を祝福しているかのようだ。しかし俺の本当の高校生活はまだ始まってもいない。だがおそらくきっと、ドキドキワクワクの生活が待っているに違いない。中学校までの俺とは違う、新しい自分になる・・・そう誓ってはるばる遠いこの地にやってきたのだ。


------俺の高校生活は、もうすぐ始まるのだ------

なんかいつの間にか異能力バトルが始まってました。

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