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83歩目「小学生のサッカー以下」

―――『side 木乃実 円卓の間』


 時間は数時間前、一人で呼び出された場所の近くまでやってきた木乃美は大きな岩の陰に隠れながら再び円卓の間に来ていた。

 この空間に来ている間、本体は完全に無防備になってしまうのだが、敵が待ち伏せを選択している以上この場に危険はないだろうという判断だ。


「相手はどんな罠で来る?」

「呼び出されたのは十字になる谷の中央、取れる作戦はいくらでもあります」


 現在円卓の間にいるのは、黒と黄そして今まで自身の武器を補充していた青だ。


「前方と左右、そして上からの多方向からの攻撃、予め設置した地雷による攻撃、時間に合わせての大規模魔法による攻撃、一対一などというのは完全に建前でしょう。言葉の意味通り『必殺』の布陣で来ることは間違いありません」

「あのガンマンは確実に俺を目の敵にしているからな。たとえ上からの命令が❘捕縛厳守《生きたまま》だとしても、確実に❘殺し《ヤり》に来るぜ? あの男は」

「前回の最後なんて殺気が駄々漏れだもの。あの口で和解だの一対一だの正々堂々なんて絶対言うわけないわ」


 普段、彼女たちは絶対にかみ合わない。

 一人は理性的に守るもの、一人は衝動的に動くもの、一人は否定的に壊すものなのだ。

 木乃美に対して脅威が現れれば彼女たちだって団結するのだ。


「それでどう殺すの? あたしが出られればそれこそ瞬きする間もなく首を掻き切ってあげるんだけど……誰が行くにしろ持久戦は不利だからね?」

「こちらが取れる手なんて二つしかありません。後ろの下がって時間を稼ぐこと、そして相手の意表を突くことです。ただ黄、貴女の実力は二回の戦いで殆ど分析されているのは間違いありません。貴女の反射だけでは意表を突くことは不可能です」

「わかってる。要するに思いっきり突っ込め、そして限界以上の力を出せってことだろ? インテリと天才の紙一重がそろって子供のサッカー以下の作戦かよ」


 インテリと言われた後は苦笑しながら肩をすくめるのみ、普段は❘紙一重バカなどと言われればブチ切れて暴れる闇も小さくため息をつくのみだ。


「その通りだからしょうがないじゃない……黄、なんだったら頭プッツンしてもいいわ」

「……こりゃ明日は雨だな、それも血の雨だ。お前がそんな許可を出すなんてな」


 作戦は決まった、あとはただ突き進むのみ。


「待ってろよカウボーイ、銃の腕が互角なんて思いあがってるようなら思い知らせてやる。この身は銃撃そのものだってことをな」


 そして黄色い弾丸が飛び出していく。

いつもお読みいただきありがとうございます。

小学生の云々は「いろいろ考えないでボールにただ突っ込むだけの状態」の意味でございます。

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