81歩目「ドラゴンシャウト」
―――『Side 王国所属英雄・実戦型錬金馬車部隊』
「きゃっあいつ何か飛び道具を」
「構うな! 手持ち火器程度で障壁は貫けん!」
逃げてばかりだった試作型の乗り手が何か小さい筒のような物をこちらに向けている。
あの高速移動と回避をしながらこちらに当ててくるとは、バリー隊長ほどではないが彼方も中々のやり手のようだ。
試作型のデータは発明王トーラから送られてきており、彼らはすべて把握している。
トーラのデータ上では試作型はは攻撃できる角度に制限がある、前方のある程度の角度と後方に向けて、走り抜ける様にしての落下物攻撃だけだ。
実戦型のホムンクルスにはすでにその情報が記憶されており、副砲と主砲は常に相手に射角を取らせない様な攻撃をしている。
こちらの弾薬は試作型が作られた後に開発された転移型補充装置により、ほぼ無限だ。
相手に補助ホムンクルスがついていないことも知っている。
勝負はほぼついたと言っていい。
敵に攻撃手段はなく、こちらの弾は無尽蔵にある。いくら相手の機動力が高くともいつまでも回避していられるほど精神力が持つはずもない。
相手に出来ることは精々、帝国どころか王国ですら時代遅れの火薬銃でこちらの障壁を叩く程度だ。
「ジーク1、こちらジーク5。敵から強い魔力反応」
「特攻か? それとも辺りもしない攻撃でもするつもりか? 障壁を最大にしろ。主砲の次の攻撃で仕留める!」
既に実戦型のうち二台の副砲が当たり始めている。
回避しきれないと見て、無理矢理機首をこちらに向けるつもりなのだろう。
しかしそんな隙を見せれば、確実に手法で撃つぬくのみだ。
「……!? ジーク1敵の手持ち火器が!」
「……なんだあれは!?」
試作型の乗り手の手持ち火器が不思議な青い光を帯びていた。
試作型からケーブルで結ばれたその武器はまっすぐにこちらを狙っている。
馬鹿な、あんな武器は試作型のデータにない。奴の奥の手か? だとしても
「はったりだ! 主砲攻撃用意!」
どちらにしても手持ち火器でこちらをどうにか出来るはずもない。
おれは攻撃を号令を出そうとした。
「たっぷり食らいな! ドラゴンシャウトだ!!」
試作型の乗り手が叫ぶと同時に、光弾が我々の陣形の中央に打ち込まれる。
強烈な光に爆風、圧倒的重量を持つはずの実験型四機と観測型が軽々と宙を舞い、視界が回転する。
吹き飛ばされた? 全員纏めて?
そう判断した瞬間全身を強烈な衝撃が包み、俺たちは意識を失った。
いつもお読みいただきありがとうございます。
次々回あたりから主人公に戻ります。




