80歩目「ドラゴンノック」
かれこれ数分、ラドリオは攻撃を避け続けているが、弾幕が薄くなる気配がない。
「銃弾の補充機能とか、余計なもんがついてやがるな? マッド錬金術師め」
ジェラートにも周囲の魔力を吸収して動力とするシステムがある、敵が撃ってきている弾丸も周囲から自動で収集するとか、膨大な弾丸を他の場所から補充するとかそういうシステムがついているのだろう。
「それによく見たらあいつ等……こっちを狙うとかそういう雰囲気じゃねぇ……狙ってきているのは機械自体か」
こっちの軌道を学習して読みつつ精密な射撃をしてきている割には、五人中四人はこっちの動きを緩慢に追ってきているだけだ。
どうにか動きを眼で追っている……という動きにしかラドリオには見えない。
「まるで新兵みたいだな、動くものを眼で追う力がまるでない」
敵の顔を動きはラドリオが故郷で見たことのある新兵の動きによく似ていた。
ドラゴンの移動速度に目がついて行かず、その軌跡を追う様に目を動かすのだ。
「……まあ人を殺しても意味がないっていうのは俺にとっちゃ好都合か」
ジェラートを必死に操りながら、ラドリオは懐に手を入れる。
取り出されたのは木製と金属の組み合わされた筒、でででで銃だ。
機械兵が使っていたような金属や金属のような光沢の物質によって作られた近代的なものではなく、黄が作っていたリボルバーのような物ではない。
ラドリオの世界で開発された、先込d式単発銃『ドラゴンノック』。
名称の由来は、ドラゴンに向けて撃っても「コンコン」とドアをノックしたような音と感触しか与えないことから来ている、ラドリオの世界の補助装備
「試しに一発!」
ラドリオが対象に選んだのは、一人だけこっちを見ていない奴。
恐らく観測が目的の機体と思われるため、ひっきりなしに操縦席についている画面を覗いて捜査をしている。
「!?」
ラドリオの放った弾丸は障壁に弾かれたようだ、大きな音を立てたのかこちらを見ていなかった敵は小さく体を震わせた後周囲を見渡している。
どうやら驚かせただけのようだ。
「一応肩を狙ったんだが……そうかそりゃ同じように見えない壁を張っているよな」
今の一撃で固定砲台とかしていた五台がランダムに動き始める、どうやら余計に警戒されたようだ。
「……埒があかない……あんまり手の内をさらしたくないんだが……しょうがないか」
段々と攻撃が苛烈に……いや正確になってくる。このままだと再び火線の蜘蛛の糸に捕まるのは時間の問題だ。
ラドリオは回避を続けながら、ジェラートに新たな操作を叩き込む。
いつもお読みいただきありがとうございます。
気が付いたらまた時間が。




