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8歩目「ラドリオ先生の地理の授業」

ラドリオが慣れた手つきで懐から地図を取り出してテーブルの上に広げる。元々は王国が売っている簡素な地図のようだが幾つもの細かい書き込みがされており中々使い込んであるようだ。

「それで、何処まで行きたいんだ?」

「一先ず王国の手の届かない所で……マルス君が、魔王がいても平気な所がいいかなって」

「それだったら目指すべき場所は一つだな」

 ラドリオが示す場所は地図上で真っ黒に塗りつぶされた場所、まさか大陸サイズの大穴が空いている訳でもないだろうが一体この場所は何なのか、マルスは興味を惹かれる。

「この場所は一体なんだ?」

「限られた英雄のみが到達できる場所、と言えば聞こえがいいけれどはみ出し英雄の支配する場所さ。通称『魔の領域』マルス君と同業の魔王が支配する場所だよ」

「君付けはやめろ、男に君付けされると寒気がする」

 確かに魔王の支配する領域ならば、王国の英雄も簡単には手を出せないだろう。当面の安全は確保できそうだ、魔王同士で殺し合いをしていなければの話ではあるが。

「でも大陸の反対側だよ?」

 マルスが話に聞いていた通り、王国は大陸の東側の端にある。西側の端にある魔の領域に到達するには、三つほどルートがありそうだ。

「その通り、そこで俺たちにとれるルートは三つ。一つはこのまま北に抜けて竜の国を抜けるルート、二つ目はこのまま西に進んで帝国を抜けるルート、三つめは南の海をぐるっと回るルートだ」

「海の上なら安全かな?」

「馬鹿、そもそも隠れる場所がないだろうが」

 海の上からぐるっと大陸をなぞる木乃美の腕をマルスは軽く払いのける。

「その心配はご無用。だって王国には船がないから、正確には外洋や外国に行く必要がないから大型の船が用意されていないんだ。海には大型の生物もいるしね」

 木乃美がやや不満そうにラドリオを見つめる、マルスも大体同じ気持ちだ。知っているのだったらなぜ候補に入れたのかと。どうも子供とみて遊ばれているのではないだろうか?

「そんな怖い顔しなさるなって、地理に疎いお二人さんへの講義も兼ねてるんだよ。それで残るルートは二つ。北か西の陸路をどっちか。しかし北はおすすめしないな、なんでか分かるか?」

「戦争中だからだろ、ドラゴリアの女王様はもっと土地をよこせといい、王国はトカゲにやる物は肉のかけら一つないって返したんだろ」

「詳しいね、マルス君」

 驚いた表情をする木乃美にマルスはため息をつく。つくづく思っていたがやはり彼女は周囲に対する興味が薄いのだ。この程度の話は旅人にでも話題を振れば一発で出てくる話なのだが、どうも人見知りの気があるようで知らない人に自分から話しかけていく様子は見たことがない。

「そう、北はダメだ。まあと言っても西の方が多少マシってだけの話だけどね」

しばらく状況説明が続くかと。

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