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76歩目「実戦型」

―――『Side 王国所属英雄・実戦型錬金馬車部隊』

「目標撃墜!」

「やったぜ!」

「ふう!」


 爆裂弾の直撃を受けて試作型が落下していくのを見て、俺たちは歓声を上げる。

 バリー隊長が随分と慌てていたからどれほどの相手かと思っていれば大したこともない。

 確かにあの速度は脅威だ、足の速いドラゴンの速度にすら匹敵する。

 ただそれだけだ、輸送型を圧倒したから調子に乗っていたのか、そもそも実戦型の存在を知らなかったのか、蓋を開けてみれば一瞬でけりがついた。


 俺たちの操る実戦型錬金馬車は、輸送型とは決定的に違うところがある。

 輸送型は人をいかに快適に運ぶか、有効にサポートするかを重点に置いて作られている。

 速度はそれなりで、防御能力は高め、攻撃能力はほぼ人員に任せる形で武装はない。

 

 対して実戦型は、対人対機械、対ドラゴンを想定して作られた兵器だ。

 機動力も防御力も攻撃力も輸送型とは比べ物にならない。

 そして対ドラゴンを想定している以上、その鱗を貫くための攻撃力。

 鋭い爪や牙、速度と大きさから繰り出される体術、必殺のブレスすら確実に防ぐ防御力。

 圧倒的な高度と速度に対して攻撃を当てる武器の射程と追尾力の全てを兼ね備えている。


「試作型だか何だか知らないが、早く飛べるだけの実験機が、実際に稼働している量産機に勝てる訳ないだろうが」

「まったくだ、錬金性の誘導炸裂弾が綺麗に決まったからな」

「あの物量なら上位の龍だってただでは済まない。機体はバラバラで乗員は骨も残ってないだろうな」

 隊員たちも余裕の表情だ、なにせこちらは実戦型が5台、さらにもう一台実戦型の別タイプ、観測型と呼ばれるタイプを連れてきている。

 観測型は実戦型の頑丈さを引き継ぎつつ、索敵や周囲の観測を主にするタイプだ。

 こいつがいたから俺たちは目視するよりも速く敵を見つけられたって訳だ。

 カタログスペック上では、索敵能力は試作型をしのぐらしく、こいつに命を助けられたことは一度や二度ではない。


「……待ってください。まだ反応が」

「ほう、コアは生きているのか……回収に向かう位置を教えてくれ」

 ちなみに観測型の人員は女性で、この隊の紅一点だったりする。

 異性を一人混ぜることで、他の隊員の意欲が増すとかどうとか隊長は言っていた気がするな。


「……この出力……まだです、敵は生きています!!」

 彼女が叫ぶと同時に、未だ黙々と上がっていた砂煙を切り裂くように試作型が飛び出した。

 先ほどの攻撃をどのようにいなしたのかは分からないが、あれは発明王トーラの趣味の結晶、少々甘く見過ぎていたらしい。


「……ジーク1から各機へ、どうやら楽な仕事なんてものはない様だ」

「ジーク2了解、こっちも拍子抜けしてたことだ」

「ジーク3了解、また落とせばいいんでしょう!」

いつもお読みいただきありがとうございます。

今回から、視点の表示を追加してみました。

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