表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
70/91

69歩目「雪原の黒猫」

完全に日をまたいでしまいました。

 木乃美の目撃証言はあっという間に集まった。


 理由は簡単だ、目立つからである。


 マルスから見て木乃美の外見は、例えるならば黒猫だ。

 同じ猫たち(女性)の中に居てもそこそこ目立つし、他の駄猫(女性)と比べても

器量のいい方だと思っている。

 それでも高級な猫(美人たち)に囲まれるとやや目立たなくなる。

 マルスにとって木乃美はそんな|猫|《女》だ。


 人間の街中では、多少骨が折れるだろうが探せば見つかるだろう。

 森の中では難しいかもしれない。

 あくまで木乃美(主人格)に限ったことで、他の人格は分からないが、マルスの知る限り隠密に特化した人格はいない筈だ。


 そしてこの聖都では木乃美はとんでもなく目立つ。

 聖都には人間は居ないし、木乃美は賢者様と呼ばれていて、その顔は宴会に参加した小鬼(ゴブリン)ならばみんなが知っている状態だ。


 先ほどの例えになぞらえるならば、一面真っ白の雪原に黒猫が一匹いるようなものだ。

 隠れようが忍ぼうがどうあがいても目立つ。


「つまり、嬢ちゃんは自分の意志で出て行ったってことか?」

「そういうことだろうな、手紙もあるし部屋が荒らされた形跡も、何かが侵入した形跡もない。そして自分の足で出て行ったことは十数人の小鬼(ゴブリン)が保証してくれている」


 早朝、部屋から出て歩いている木乃美に集会所の歩哨が声をかけている。

 その後街中を歩いているのを、通りの肉屋の女将さんが見ている。

 さらに聖都の出口へと続く道を警備している小鬼(ゴブリン)にも声をかけている。

 挙句の果てには聖都の扉を警備している小鬼(ゴブリン)

「少し外を散歩にし行きたいのだけれど……構わないかな?」

と自ら目隠しをして声を欠けたそうだ。


「そして、この手紙だ」

 木乃美の部屋に残されていたのは、昨晩木乃美に届けられていた手紙だ。


 ただし一部内容が異なっている。

 木乃美が実際の呼び出されたのは谷の南側、谷と谷が交差する場所なのだが、この手紙には生徒の北側の大地に来るように書いてある。


 黙って出て行った木乃美が、わざわざ行先の分かるようなものを残していったことにマルスはわずかな違和感のような物を覚えたが、そのことを深く考えるよりも先に、彼女をひっ捕まえることが先決だと気持ちを切り替えた。


「この場所ならばよく知っております、我らも参りましょう。行けばきっと戦いになります」

「いや、そこまでは」

「ぜひ頼む」

 完全武装、といっても粗末な毛皮や医師の武器や防具ではあるが、武装した小鬼(ゴブリン)たちの援軍を断ろうとしたラドリオをマルスは逆にとめる。


「おいおい、こいつらを危険な目に合わせるのか?」

「逆だ、条約のお蔭で王国は連中に手が出せない。一緒にいた方が安全だ」

「……分かった。ただ俺はジェラートで先行するからな?」


 事態は王国の思惑通りに進んでいく。

いつもお読みいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ