63歩目「ゴブリンクッキング」
飯テロ?です
宴が始まって三人が連れてこられたのは神殿の入り口、階段で少し上がった所だ。
特別に用意されたテーブルからは、下の広場が一望できる。
全体的に茶色が多い物がそれでも色とりどりの料理に輝く精霊の石、笑い合う人々(小鬼)たちが一望できる。
「皆さん食べたいも物を仰ってください……私共がとってまいります」
「いえ、私は自分で撮ってきます」
「いけませんわ、皆さんは今や我々の取っ手の大恩人、自ら取りに行ってしまわれると皆に囲まれてしまいますわ」
「……えっと、料理の名前が分からないので、適当にお願いします」
困惑しながら木乃美が料理を頼むと、付き人? (付き小鬼)は丁寧にお辞儀をして料理を取りに行った。
「木乃美、俺の従者ならばもっとしっかりしろ」
「マルス君は手慣れてるんだね」
「メイドと同じだ、適度に仕事を与えてやればいい」
「……あ、そういえば女性? だね」
慣れた様子でお付の小鬼を顎で使うマルスと木乃美が会話をしていると、先ほどの小鬼が戻ってきた。
この手の話に乗ってきそうなラドリオはというと、複数の美女(小鬼)を侍らせてオグリアスと酒を飲み交わしている。
多分美女なんだろう、他の小鬼に比べて腰が括れているような気がするし、目鼻立ちをすっきりしているような気もする。
正直な話木乃美やマルスには良く分からなかった、上機嫌なラドリオを見るにラドリオは分かっているのかもしれない。
雰囲気にのまれているだけかもしれないが。
「お待たせしました、洞窟蝙蝠の姿焼きに目無し魚の焼き物、聖都のキノコの盛り合わせです」
小鬼が持ってきた料理に、流石の木乃美も苦笑いをする。
香ばしい匂いが食欲を誘うが苦悶の表情のまま焼かれている蝙蝠、どことなく不気味さを感じる魚の顔、そしてパッと見毒キノコにしか見えないキノコの数々。
小鬼たちが平気な顔で食べているところを見れば食べても平気なのだと分かるのだが、それでも食指がわかない造形であることは間違いない。
「お嫌いですか?」
「あ、いえ、いただきます」
悲しそうな声と潤んだ瞳で見上げられてしまった木乃美が、反射的に頷いてしまった。
恐る恐ると言った様子でフォークを伸ばし、蝙蝠の肉を一切れ口に入れる。
「……鶏肉っぽいんですね、美味しいです」
「本当ですか! 出来るだけ人族の皆さんにも食べやすい物を持ってきたんです、他のオススメも持ってきますね」
「あ、いや」
木乃美が止める間もなく、小鬼は一礼をしてお代わりを取りに行ってしまった。
「……異文化交流は気を付けないとな……このフルーツのお代わりを頼む」
テーブルに案内される前に料理にチラリと目を通しておいたマルスは、苦笑しつつ果物のお代わりを頼んだ。
いつもお読みいただきありがとうございあんす。




