47歩目「まさかの自動車」
「それで、もって行く物が決まったけど……これ?」
木乃美がどことなくうんざりしたような声を出す。
交易品として持って行く物……勿論すべてではなく見本となるような物のみだけなのだが……それが小山のように積みあがっていた。
鉱石や赤いサボテン、果ては一族秘伝の酒樽などが山のように積みあがっている。
ゴブリースは平均的な小鬼体格でマルスは子供、ラドリオは貧弱ではないが交渉に当たらないといけないので荷物は持っていけない。
必然的に荷物持ちは木乃美の仕事になるのだ、そりゃうんざりもするだろう。
「……いや、流石にお前に全部持てとは言わないぞ? な?」
「そ、そうだよ、俺の馬車出してもいいよね? ね?」
「も、もちろんです」
本当は伏兵などを気にされない様に徒歩で行くつもりで、荷物も木乃美(もしくは木乃美の中の人格の誰か)に持たせるつもりだったとは言えなくなってしまった三人だった。
―――
ラドリオの馬車を出す手続きと、荷物の積み込みに余計な時間を取られてしまい、ゴブリースが取り付けてきた帝国との合流の時間にギリギリになってしまった。
全員両手を見えるように立ち、さらに馬車は中身が見える様に後ろ向きに止めてあるという徹底ぶりだ。
「今襲われたらひとたまりもないよね」
「帝国もいきなり襲ってくることはない……と思います」
じりじりと太陽が照り付け木乃美とマルスの頬を汗が流れていく。
「……帽子でも持ってくればよかった」
「ああ……お前は黒いうえに髪の毛も長いしな」
慣れているらしいラドリオと小鬼であるゴブリースは涼しそうな顔をしている。
どれくらい待っただろうか?
あまりの暑さに木乃美が座り込んだあたりで、荒野の向こうから砂煙が上がり始める。
木乃美が慌ててお尻の砂を払っているうちに、砂煙は一台の馬車となった。
「あれ? あれって自動車?」
「ん? 木乃美は知っているのか?」
木乃美の言葉にマルスが驚きの声を上げる。
やってきたのは確かに木乃美の知っている自動車だ。タイヤが大きいとか運転席が見えないなど差異はあるが、錬金馬車に比べれば木乃美の知っている自動車に近い。
四人の近くにやってきた自動車が車体の横を向けて止まる。
車体の横が上に向かって開くと、そこには一つの大きなモニターが付いていた。
「君たちが亜人族小鬼の代表と代理人でよろしいかね?」
画面上に出てきたのは軍服を着た眼鏡の中年男性。
画面越しでも四人を値踏みするような鋭い視線が遠慮なく向けられる。
特に木乃美は他の三人よりもジロジロと見られている気がした。
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