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45歩目「黄VSマルス」

ただし舌戦です。

「どう違うのか俺は理解に苦しむな」

 これ以上聞くことがないという意志表示のため腰を上げるマルスに闇は悪戯を仕掛ける子供の様な笑顔を向ける。

「もう帰るの?」

「夜も遅いしな、乙女の寝室(円卓)にあまり長居するべきじゃないだろ?」

 そういって円卓から退出しようとしたマルスの前髪を何かが撃ち抜いた。


「おいおい、俺の話をしているのに俺に挨拶はなしか? 坊や」


 マルスが冷や汗を垂らしながら斜め後ろを振り返る。

 

 ガンベルトは変わらず、何故か黄色い熊を着ぐるみパジャマを着た黄が不機嫌そうに自分の席に座っていた。

「……円卓の上にいたら危害は加えられないんじゃないのか?」

「髪の毛散らす程度は出来るわ? 難しいけど」

「おい、俺が話してるんだ。イカレた殺人鬼は檻に帰んな」


 気づけばお互いに自分の獲物に手をかけて睨み合っている二人を眺めながらマルスはこっそりため息をつく。


「おい、喧嘩するなら俺は帰ってもいいよな?」

「誰が帰っていいって言った? 俺はお前に用があるって言ったよな?」

 じゃあ早くしてくれという言葉をマルスは飲み込んだ。


 できることならば早めに木乃美の人格たちを把握しておきたいのは事実だ。

 誰が、どのような能力で、どんなことができるのか?

 それが分かるだけで木乃美の、そしてマルスの生存率が上がるからだ。


「何の話だ? あいにくと黄色い物は手元にないが?」

「そうじゃない……最近随分と調子に乗っているようじゃないか?」


「調子に乗っている?」

 はてとマルスは首をかしげる。

 調子に乗っていることが思い当たらないからではない、ある意味自分はいつも自分の調子に乗っていると思っているためである。


「赤に青に緑……そしてそこの死体量産マシーンまで手なずけてるようで」

「誰が死体量産マシーンよ。あたしはそれが最善だと思っていやってるだけだし。あと手なずけられてないわ」

「自分以外皆殺しの殺害計画に除外されているだけで十分だろうが」

 合間合間に絡んでくる闇を適当にいなしながら黄は話を続ける。


「言っておくが、俺はお前の言うことを聞く気分じゃないしその予定もない」

「はっきりいうな? なんでだ?」

 昨日の緑や闇のことを考えると、皆が言うことを聞いているとはマルスには到底思えない。

 そんな彼の思いを無視して話は進む。


「俺は、銃声と爆音のあるところに現れ目の前の敵を撃ち倒おす、それだけだ。それ以上のことをするつもりはないし、その時以外は出てくるつもりもない」

「いいさ、いざとなれば『そういう状況を作るだけだ』」

 黄のはっきりとした拒絶の言葉に、どことなく笑みを浮かべながらマルスは返事を返す。

 その様子に黄も獰猛な笑顔を返した。


「唯の世間知らずの坊ちゃんかと思えば、頭と思い切りは悪くないのな。いいさ、俺が必要なら精々知恵を絞って俺を引きずり出してみな」

いつもお読みいただきありがとうございます。

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