44歩目「黄という女」
「黄っているのか、あの女は。だから黄色い服に身を包んでいるのか」
「いや、あれは多分昔見た映画の……そこはアンタに説明してもわからないか」
何かを説明しようとして闇は苦笑いを浮かべた。
マルスとしては出来るだけ情報がほしいのだが、話の流れから彼女の元の世界の話なのだろう。
自分の知らない技術を一から説明されても面倒なだけだし、広まっている技術というのはよどみなく使えていても技術は良く分かっていないこともよくある。l
「服装はいいんだが……あの武器は一体なんだ?」
「銃よ? 銃じゃわからないか、火縄銃、種子島、マスケットでもいいけど」
闇が次々上げていく名称にマルスは首をかしげる。残念ながら彼の世界にその武器の類はなかったようだ。
「すまん、聞いたことがない」
「あー……要は金属の塊を高速で撃ち出す武器よ。威力については帝国のロボット……機械兵だっけ?あれを見ていれば
闇も詳しい知識を持っているわけではない、木乃美自身にそういう知識がないのだ。
なので適当に誤魔化しておくことにする、マルスの方もなんとなく納得したようだ。
「だとしても、場合によってお前より強いというのは信じられないな。唯速い弾を出せるだけだろ?」
「ただ弾の出すだけ……言ってくれるじゃない? 確かに私が速さに力を割り振れば躱せないほどじゃないけど、アレ一応音より速いからね?」
「……俺はそれどっちに驚けばいいんだろうな」
音より速いということも、それを躱せるというのもマルスの常識からいえば信じられないレベルである。
「話を戻すけど、あれは『銃弾や爆音に慣れたい』という衝動から生まれた人格。生き残ろう為に殺すあたしにはちょっと近いかな? 銃弾を自在に操り爆音を子守歌に眠れる存在。それが黄色って女よ」
「具体的にはどういうことができる?」
先ほどの説明では、銃という武器の扱いが上手く、音に鈍感という程度しかマルスには分からない。
「数キロ……あーなんて言えばいいのかな、目で見えないくらい遠距離から攻撃できる。後撃った弾は確実に目標を捕らえるわね……速さや魔法や固さで防がれなければだけど」
「聞けば後衛のようにも思えるな……なるほど、お前はがっつり近距離型だ、遠距離型とは相性が悪いと」
「言ってくれるじゃない……気分が悪いからもう一つ教えておいてあげる」
もう一つということはこれ以上は教えることがないということらしい。
「あれはトリガーハッピー……これも通じないか……戦闘狂みたいなものだから、アイツが出たら戦わない解決法は諦めなさい」
「まるでお前はそうじゃないみたいな言い草だな?」
じとっとした目で闇を見るマルスに、闇は三日月のような口で笑みを返す。
「あたしは殺人狂だからね」
赤=あかとそのまま読むんですが……レッドとかイエローとか言った方が名前っぽい気がしてきました。
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