42歩目「交渉中」
色々あって今日は短めです。
「帝国と渡りをつけるのはまあいいとして……どうやって交渉するつもりだ?」
ここでマルスが口を挟む。
確かにこのままでは魔物として狩られる未来は、王国だろうと帝国だろうと変わりないように見える。
「その点はご安心ください。王国は魔法以外には見向きもしませんが、帝国は亜人その物や鉱物にめをむけておりますのじゃ」
小鬼の指導者は天井を指さす。
「幸い、ここでは精霊の石が取れますし、この聖都には鉄や銅が取れる鉱脈がありますのじゃ。それを売り文句に帝国に交渉することができれば、我らはどうにか生き延びられるはずなのですじゃ」
「帝国が亜人保護区……っていうなの囲い込みをしているのは確かだぜ? あと鉱物に重点を射ているのも間違いない……まあ悪くはないんじゃないか?」
食後の水……と思いきや彼だけはお酒が注がれていたらしく、ほんのりと顔を赤らめながらラドリオが捕捉する。
「帝国との交渉の用意があるのは分かった。そのために俺たちが必要なのも分かった。そのために俺たちを持ち上げているのもな」
この交渉には決定的な弱点があることをマルスが見抜いた。
「それをやることに俺たちのメリットがない。となると脅すか頼むしかない訳だが?」
マルスのいるような目に、小鬼の指導者は申し訳なさそうに目を背ける。
「おっしゃる通りですじゃ。貴方たちには全く得のない話、かといって脅して従わせた所でいい結果が出る訳もなし」
「……それで?」
「利点がないのは承知でお願いしたい。どうか我らが種族を救ってくださらぬか?」
どうするべきかとマルスは考える。実際マルスたちには関係のない話だ。
断ったとして、最悪木乃美の能力で押し切ればいいだけの話だ。
「あの……マルス君」
さてどうすれば友好的に見せつつ断れるかと考えていたマルスの腕を木乃美が突いた。
「なんだ?」
「やってあげればいいんじゃないかな? それで帝国さんとの交渉に私たちを追わないことを上手く混ぜ込めればと思うんだけど」
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