41歩目「宴の理由」
オグリアスが去った後、木乃美たちの元に料理が運び込まれてきた。
洞窟の美味しい水、何か良く分からない草の炒め物、何か良く分からない肉のステーキである。
「これ何の肉なのかな?」
「不味くはない、気にするな。多少の毒なら俺たちは効かん」
「いりませんって空気じゃないもんな、この状況」
恐らく女性の……服装と体つきから判断したのだが……小鬼たちが目を輝かせながらこちらを見ていた。
正確にはマルスを見ていた。
幸か不幸か、お肉も野菜も美味しかった。
草の方はピピりとした刺激をの強い香草に近いもので、お肉の方は鳥の感触に近い。
恐らく郷土料理なのだろう、少々癖のある味付けではあったが三人は大変おいしくいただいた。
「楽しんで頂けているかね?」
料理を食べ終わり、一息ついていると、派手な小鬼、小鬼の指導者が近づいてきて丁寧にお辞儀をする。
「能書きは良い、要件は何だ? 何のために俺たちを勇者だ何だと持ち上げた?」
「ほほっお見通しですか……実はですな?―――」
小鬼の指導者は深く頭を下げた。
「―――帝国との交渉役をお願いしたい」
彼らの話はこうだ、この辺り一帯は元々彼らを含めて亜人達がそれぞれ支配する土地だったらしい。
ところが近年帝国がその勢力を伸ばし、この一帯にも進出してきた。
当然亜人たちは、特に血の気の多い種族が、種を上げての徹底攻勢を始めた。
小鬼もそうだという。
ところが帝国の機械兵は強く、守護神の気甲拳を持ってしてでも戦いは辛いものとなった。
多くの戦士たちが倒れ、満足に気甲拳を使えない子供や老人も数を減らしていった。
ついに彼らの領域はこの聖都を残すのみとなり、種族の生存を考えた小鬼の指導者は帝国と和平を結ぼうと思ったのだ。
しかし派遣されてくる機械兵たちは小鬼と会話できず、たまに見かける部隊の隊長と思しき人間とは機械兵に阻まれて会話することができない。
困っていた彼らの元に迷い込んできたのが木乃美たちだという。
「一ついいか? 帝国じゃなく王国側に逃げることは出来なかったのか?」
「それは一度試しましたのじゃ……しかし彼らの不思議な魔道具……ケイカイモウでしたか?あれに引っかかったため部族たちはやってきた英雄に有無を言わさず倒されてしまいましたのじゃ」
王国では機械兵と戦う際『近づかず高威力の魔法で一撃必殺』という戦法をとっているらしい。
そのため彼らは小鬼の避難民に対しても同じ方法をとったらしい。
これでは声をかけるどころではない。
「そもそも、王国には昔からはぐれ者……皆さんの言うところのハンザイシャの同胞が迷い込むことが多く、小鬼にあまり良い印象を持っておられんようじゃからのう」
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