37歩目「オーガと少女の激闘」
昨晩寝過ごしました。今日は二回分投稿します。
何も考えていない唯の大振りの攻撃から、戦士の一流の攻撃へ。
巨大な棍棒が縦横無尽に振るわれ、赤は倒れることすら許されずただ蹂躙しているだけ。
そのように周りからは見えたのだろう、観客の小鬼たちが歓声を上げている。
その中にで苦々しい顔をしているのはオグリアス本人とマルスたちだけであった。
それぞれにそのような顔をする理由は別としてだが。
「(……なんという粘り強さ)」
一方的に攻撃しているはずのオグリアスだったがやはりその表情はさえない。
何故なら目の前の少女はすべての攻撃を盾で受け流すようにして弾いているのだ。
一発でも真面に受ければ唯では済まないオグリアスの攻撃を紙一重でさばき続ける。
恐ろしい集中力とスタミナだ。
先ほどの攻撃から赤の攻撃の癖やスタイルは読み取ったつもりだったのが、現状はオグリアスにとって予想外だ。
無論このまま続ければオグリアスが勝つだろう、このような綱渡りの防御は続けられるはずがない。
しかし防御の向こうからジッとオグリアスを見つめる少女の瞳が何かを狙っているような気がしてならないのだ。
「……不味いな」
「不味いのは見りゃ分かる! 速く止めないと殺されちまうぞ!?」
今にも戦いの場に飛び出しそうになるラドリオをマルスは服を引っ張って止める。
「安心しろ、直撃はしてない。直撃ならとうに吹っ飛んでる」
「え? でもどうみても」
「元々あいつは攻めるよりも、防戦が得意だ……黙ってみてろ」
マルスが不味いと言ったのは現状ではなくこの後の展開だ。
相手が勝負を急ぎ始めたのはマルスでも何となくわかる。それが実際に何かしら長期戦では不味いりゆうがあったのか、飽きたのかは分からないが。
攻めてもダメージはなく、相手は本気になり、防戦一方になっている。
このままでは敗北は必死だ、だというのにマルスの目には赤が戦いを飽きラめているようには見えなかった。
「何かしら手があると?」
「はぁっ!」
「ぬう!」
体勢を崩されてオグリアスが呻く。先程から何度も攻撃を受け流され体勢を崩されることが多くなってきていた。
オグリアスが赤の攻撃の癖を読んだように、赤がオグリアスの攻撃を読んできているのだ。
そして体勢を崩す回数はどんどん増えていた。
「(いかん、これ以上は……ここは勝負じゃ!)」
既に体勢を崩される回数は十回を超えている、これ以上の連打は不利にしかならないと判断したオグリアスは勝負にでる。
体勢を崩された体を強引に修正し、武器を持ってない方の手を相手の方に突き出す。
上手く意表をついたため伸ばした手は相手の少女を突き飛ばして、転ばせることに成功した。
あとはそのままの勢いで棍棒を上からたたき下ろす。
一連の動きで少女に避ける余裕はない、避けたとしても棍棒の衝撃で吹き飛びダメージを受けるだろう。
勝利を確信しながらオグリアスは棍棒を振り下ろした。
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