31歩目「強者の試練」
『強者の試練』とは彼らに伝わる問題ごとの解決方法らしい。
「道に迷った時は強者の選ぶ道に進め」という小鬼の諺があるそうだ。
たとえ道に迷ったとしても強者の選ぶ道に進めば、その道が間違っていたとしても強者の知恵と力で解決できるだろうし、間違っても文句が言えない。
そういう意味合いなのだそうだ。
その強者を決めるための儀式が『強者の試練』なのだそうだ。
やることは至って簡単なこと、周囲で一番強い者と問題の当事者、あるいは問題ごとの中心となった二名をお互いに戦わせる。
前者ならばもし勝つことができれば問題は不問とされ、後者ならば勝った方が問題を解決する。
勝負は力を競うものでもいいし、知恵を競うものでもいいが競技を決めるのは仲裁者なのだそうだ。
これだと仲裁者と戦う何方かがつながっていればそれはインチキなのではないか?と思うかもしれないがそれもまた『繋がりを持つ力』と判断されるのだそうだ。
今回の場合競技を決めるのは、小鬼の指導者となる。
「今回は、知恵比べでは納得せんものが多いだろう。小賢しい人間は我らにとって良い印象を与えん。ならば武力による決闘としよう。幸いそちらのお嬢さんは王国と帝国の追手を蹴散らしたらしいからの、異論はあるまい?」
リーダーの言葉に周囲の小鬼がざわざわと騒ぎ出すが異論をはさむ者はいないようだ。
マルスがそう思っていた時一人の小鬼が手を上げる。先ほど木乃美たちを殺すべきだと主張した奴だ。
「勝負の方法については異論はない。しかし誰と戦わせるのだ? 生半可な相手では俺は納得しないしここに居る者たちの実力は似たり寄ったりだ」
この質問を想定していたのか小鬼の指導者ほっほっほと愉快そうに笑う。
「勿論想定しておる。彼女の相手はオグリアスじゃ」
ざわつきは一層大きくなる。
「あの……そのオグリアスさんってどんな方なんですか?」
周囲のざわつきに乗じて木乃美が近場の小鬼に話しかける。
自分が戦わされる相手だし気になるのだろう、本当はマルスがやろうと思っていたことだが先を越されてしまったようだ。
「お前オグリアス様を知らない……いや人間なら当然か」
話しかけられた小鬼は心底驚いたような顔をしたが思い直したように丁寧に説明しだす。
「オグリアス様は守護神ゴブリアス様の弟子で聖都の闘技場で2年間無敗のチャンピオンだ。狼の群れをものともしないスピード、魔物をねじ伏せるパワー、帝国兵の攻撃をものともしない防御力を持った最強の大鬼さ!」
いつも読んで頂きありがとうございます。
そろそろまた戦闘です。




