29歩目「神殿内部」
巨大な神殿に入りまず目に入ってくるのは巨大な石像だ。
恐らく小鬼なのだろうその石像は神殿の入り口の天井に届かんばかりの巨大さだ。
なぜ『恐らく』なのかといえば、それがまだまだ作っている途中の石像だからである。
まだまだあたりをつけている途中らしく、何となく小鬼なのだろうという輪郭が掘られており、周囲に立てかけられた足場と梯子から何人もの小鬼の職人たちが石を削っているようだ。
「今更何かを称える像が必要だとは思えないが」
「何を言う、これは我らが英雄。いや我らの守護神『ゴブリアス』様のお姿だ」
未だ大まかな形に掘られているだけではっきりとしたことは分からないが、確かに他の小鬼よりも凛々しい表情をしていて筋肉も盛り上がっている……様な気もマルスにはした。
「あの……その人は今のここに」
「……いや……それより先に進め、我らが王と部族会がお待ちだ」
木乃美の質問に周囲の小鬼たちが露骨に目をそらす。
どうやら件のゴブリアスという小鬼はここにはいないようだ。
巨大な通路を周囲を小鬼に囲まれながら進む。
通路のサイズは高さは小鬼の五倍以上あり、横幅は小鬼たちが20人以上横に並んでいて歩けるほど広い。
神殿の大きさといい、通路の大きさといい、他の建物との技術との差といいこの神殿は彼らが作ったものではないのかもしれないなとマルスは周囲を見回す。
木乃美も興味があるようで周囲の監視たちに怒られない程度に周囲を観察しているようだ。
やがて巨大な部屋に到達する。中央がくぼんでおり大きな精霊石が光り輝いている。この空洞の天井にあるほどではないが巨大な篝火程度には大きい。
周囲を囲むように階段があり奥には巨大な石像の足だけが残っている。
マルスの推測では階段に信者たちが立って、奥の神の像だか女神の像だか知らないがそれに祈りを捧げていたのだろう。
今は階段を椅子代わりにして派手な飾りをつけたり武器を持った小鬼たちが座っており、台座の部分には一際派手な衣装を来た小鬼が座っている。
「あれが王様かな?」
「多分な、差し詰め小鬼王か小鬼の指導者と言ったところじゃないか?」
マルスと木乃美が階段の部分まで連れてこられると、マルスたちを護送してきた者の指揮官と思われる小鬼が跪き王たちに対して一礼をする。
「偉大なる小鬼の指導者と部族長たちに申し上げる。谷への侵入者を捕らえました。しかし彼らは我らの恩人でもあります。偉大なる方々の判断を仰ぐべく連れてまいりました」
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